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泥人形の「兎児爺」

 

文=楊振生

泥土をこねるのは北京の子供の遊びである。けれどそれは古い北京の民間工芸品――「粘土人形」にもなっている。粘土の童、粘土のオンドリなど、簡素ではあるが、子供たちに愛され、街頭の人気商品だった。

「兎児爺」は中秋節に休日の気分を添える

最も人気の泥人形は「兎児爺」だった。兎の頭に人身のこの人形は、庶民の心のうちでは人々に尊敬される神仙だった。旧暦8月15日の中秋節になると、家々では美しい月明かりの下にこの人形を供えた。それは月の宮殿のなかで、数千年にもわたって薬をついてきた伝説の「玉兎児」でもある。「爺」(イエ)は、封建時代の身分の高い人々に対する尊称であり、神への尊称でもある。かつては医療環境が悪く、北京の春秋には疫病がよく発生した。北京人は薬をつく「玉兎爺」は人々の安全と健康を守るものとして、祀ってきた。「玉兎」は、家畜でなく、また野兎でもなく、伝説上の月の宮殿「広寒宮」の神兎であり、つかまえて遊ぶことは許されない。遊びたいなら、「どうぞ」とお招きし、「爺」の尊称のついた「兎児」として恭しく供えなければならない。

資料写真 かつての「兎児爺」販売の様子

中秋節の期間、北京の東岳廟広場では、兎児爺の山が目をうばう

北京の国子監、また天橋斜街には、両肩に羽をつけたなかなか良い「兎児爺」がある。価格は大小によって違うが50~700元である。

北京の東学廟の廟会(縁日のようなもの)にでかけ、吉祥物である兎児爺にお出ましを願うのは古い北京の風景である

 

 

人民中国インターネット版 2013年8月27日

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