湖北省・黄石市道士フク村 屈原しのび、飾り舟流す神舟会
神舟開眼、諸神登舟
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神舟の進水式を取り仕切る道士 |
5月15日0時、道士は線香を焚きろうそくを灯し、法事、祭祀を行ってから、占トをはじめ、各仙人に船上にあがってくれるようお願いをする。名前を読み上げられた仙人の神像を、神舟を造った職人があらかじめ定められている場所に運ぶ。64仙人すべてがそれぞれの位置につくまで延々と続く儀式である。
神舟会の正式な会期は旧暦5月15日から5月18日。この間、人々は「神舟宮」の前に舞台を組み、昼も夜も楚劇(湖北省の地方劇)の大作を上演する。雨が降ろうが炎天であろうが、この日を心待ちにしてきた演劇ファンたちが、どっと押し寄せる。
神舟巡行
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昼近くになると、神舟を担いだ人々は江畔に向かう |
この日を迎えるにあたり、どの家も門にショウブやヨモギの葉をぶら下げる。さらに玄関に香炉を置く机を設け、線香を立て、黄色い紙を燃やし、酒、茶、米、果物などを供える。
神舟が家の前にやって来ると、その家の主人は爆竹を鳴らし、神舟に向かって茶葉と米を撒いてねぎらいながら、五穀豊穣を祈る。3時間ほど練り歩き、村中をくまなく回ったあと、「神舟宮」に戻り終了となる。
旧暦5月18日は、神舟を長江に流す日である。17日の夜、村民は次々に「神舟宮」を訪れ、神舟の周りに48の常夜灯を灯す。人々はそばに座って、静かに神舟のお供をする。この夜、「神舟宮」内に銅鑼と太鼓の音が鳴り響き、線香の煙とろうそくの光が揺らめく中、人々は夜を徹して神舟との別れを惜しむ。夜の12時になると、神舟会は徹夜した人々に米のおかゆを届けるという習わしがある。夜が明けると、村中の人々が鍋や盆を手に、おかゆをもらいに神舟会の炊事場にやって来る。神舟会のおかゆを食べることで、福が訪れると人々は信じている。
長江を下ってゆく神舟
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神舟を見送るために川のほとりに集まった人々 |
法事が終わると、道士と神舟会の頭人の先導に従って、神舟を担いだ16人の若者が小走りに川のほとりに向かう。天地を揺るがすような爆竹の音の中、川のほとりで待つ人々の思いはいやがうえにも高まってゆく。若者たちは、事前に用意した稲わらで作った台に神舟を固定し、牽引船で長江の主航路まで引っ張ってゆく。川に浮かんだ数艘の漁船の船首には香炉が備えられ、神舟の周りを爆竹を鳴らしながら回る。こうして神舟を見送るのだ。神舟を川の中心まで引っ張っていった牽引船は、正午ちょうどに縄を解く。神舟は水の流れに乗って、長江を下ってゆく。
村民たちは堤の上で、立ったりしゃがみこんだりしながら合掌し、屈原をしのぶ。そして自らの円満な生活を願いながら、長江を下ってゆく神舟が、いつしか川の彼方に姿を消すのをいつまでも眺めている。
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