People's China
現在位置: 連載暮らしのなかの中国医学

第一回  中医と西医、どちらで診察する?

 

 

プロフィール 

杜金行 1985年北京中医薬大学卒業、2001年北京中医薬大学中西医学修士号取得。中日友好医院中西医結合循環器内科主任医師、北京中医薬大学内科教授、修士指導。

 

中国では中医、西医のどちらで診てもらう人が多いのでしょうか?使い分けはあるのでしょうか?中医と西医両方の資格を持つ、中日友好医院中西医結合循環器内科主任医師の杜金行先生に伺ってみました。

杜先生 中国は患者自身が中医か西医のどちらに診てもらうかを選択します。中医にかかる患者の方が多数と言えるでしょう。また、西医にかかっていたが効果がみられない、副作用が大きい、原因不明の病気であるなどの理由で、中医に変更する患者が多くいます。日本のように病院や医師同士が紹介状を出すことや、中医と西医が互いに紹介することはありません。すべて患者が選択し、かかりたい病院に行き医師を選び受付をします。

――中医と西医、中西医結合の治療例を教えてください

杜先生 感冒(カゼ)を例にあげます。中医では弁証(望・聞・問・切という診察によって患者の病気の状態を判断する中医学独特の診断法)を通して、感冒を「風寒感冒」「風熱感冒」「気虚感冒」など、状態を見てさらに分けてその患者に合った中薬を処方します。西医では何の細菌かウイルスかを血液検査などのデータで判断し、抗生物質、抗ウイルス剤などを用いて治療します。中西医結合の場合、患者に高熱があったとしましょう。まず西洋薬で解熱し、そのあと中薬を服用します。対症薬の西洋薬を服用したあとに、全身のバランスを調整する中薬を服用すれば回復が早くなります。

――中医と西医の使い分けについて教えてください。

杜先生 心臓病を例にあげましょう。冠状動脈の硬化→狭心症→心筋梗塞→急性心不全→慢性心不全と病気がすすんだ患者がいたとします。急性心筋梗塞と急性心不全は緊急の処置が必要なので西医の治療が必須です。中医は発病する前に予防する、病気の人は人体全体のバランスを診て根本治療をするという考え方を持つので、この例では、動脈硬化を予防することと、慢性心不全に対しての治療に効果を発揮します。

 

 
病院内には中薬と西洋薬の2つの薬局窓口がある  病院内の中薬調剤室  約300種の生薬を常備している 

 

取材を終えて 病気予防のために、また慢性病に対しての治療に中医にかかってみるのも一つの方法でしょう。中医と西医のそれぞれの利点を考えた選択が大切です。症状に応じた上手な使い分けで治療効果に違いがでると思います。

 

人民中国インターネット版 2011年3月1日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   <   1   2  

同コラムの最新記事
第四回 北京で見かける薬食同源のあれこれ①
第三回  春に多い目の病気
第二回 中医師の診察と中薬を体験する
第一回  中医と西医、どちらで診察する?