修業も競争も厳しいが高収入美容師
王焱=文・写真
生活水準の上昇に伴い、人々のヘアスタイルに対する美的欲求はますます高まっている。そうした中で、美容師は伝統的な理髪師を基礎に時流に乗って登場し、その技術で顧客に魅力と風格あふれるヘアスタイルを提供するようになっている。
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カットしながら、顧客とおしゃべりをする劉さん。優秀な美容師は見た目がきちんとしてあか抜けているだけでなく、良好なコミュニケーション能力も備えていなければならない |
華麗な技は修業で培う
広西チワン族自治区の桂林出身の劉景林さんは、十数年のキャリアを持つベテラン美容師だ。1990年代に、彼は広州百蓮達美容美髪学校を卒業した。
「技術を高めるためには日夜努力することが必要です。何千人もカットしなければ、良い技術は身につきません」と、劉さんは回顧する。「学校はたびたび私たち生徒を工場に派遣し、工員たちを無料でカットさせたものです。工員たちには実益があり、私たちには技術を磨くチャンスになりました」。説明によると美容師は仕事に就いてから一人前として仕事を任されるまで、少なくとも五年間はかかるという。
劉さんは美容美髪学校を卒業後アシスタント美容師となり、十余年の経験を経て現在は北京にある「尚帝」美容室のヘア・ディレクターとなっている。その実力は、フィギュアスケートの世界チャンピオン申雪・趙宏博などの有名人も彼をヘア・デザイナーとして重用しているほどだ。それでも彼は、機会があれば上級の美容学校に行って学び、同業者との相互研究を欠かさない。彼は「今はお客様がますます流行に精通するようになっています。新しいことにチャレンジしないとすぐに流行についていけなくなるのです」と話している。
「尚帝」では通常のカット料金は20元だが、ヘア・ディレクターの場合は48元。倍以上もするというのに、多くの顧客がヘア・ディレクターにカットしてもらうために順番待ちをする。劉さんによれば、時に20人以上が待っていることもあるという。
信頼を得る話術も重要
ヘアメークは一対一のサービスだ。ただ技術に通じているだけでなく、それを顧客の頭の上に表現しなければならない。この時にコミュニケーション技術が重要となる。顧客はヘアメークの前には期待と不安が入り交じった状態にあるので、美容師は適切に話しかけることが必要だ。
「初めてでいらっしゃいますよね?以前はどちらでカットされてました?」
「大学生でしょ? あ、もうお勤めですか」
こうしたおしゃべりは顧客をリラックスさせ、美容師にはヘアスタイルを決める参考になる。顧客を座らせたら、美容師はまずヘアスタイルに対する希望を尋ねる。
「時に、希望のヘアスタイルがその方にふさわしくない場合もあります。そうした場合、私たちは専門家の観点から、お客様の髪質、顔の形、頭の形、体形、ファッション、性格、職業などから判断して提案をします」と話す。劉さんの説明によると、ヘアスタイルは顔の輪郭を調整し、チャームポイントを強調し、気になる部分を隠すこともできるのだという。そして、コミュニケーションのポイントは目だという。顧客は座ると美容師に背を向ける格好になる。しかし、だからといって顧客の目を見なくていいということではない。劉さんの説明はこうだ。「自分のアドバイスを述べる時は、鏡を通してお客様の目を直視します。その時に、こちらの目には自信と温かさが表れていることが求められます。それでこそ、お客様の信頼を得られるのです」
観察、コミュニケーション、実際の作業を通して、ようやく顧客が満足するヘアスタイルが完成するのだ。劉さんは言う。「私が最も期待するのは、お客様が鏡で自分の新しいヘアスタイルを見て、笑顔を見せる姿です。それが私にとって激励と信任になるのです」
90年代に数千元の月収
美容師の収入はこれまで一貫して比較的恵まれたものだったという。1990年代半ば、一般サラリーマンの給与がわずか数百元だった時代に、腕のいい美容師は数千元の月収を得ることができた。このように、仕事はハードでも収入には恵まれるという条件のもと、資金と経験を蓄積した後で自分の美容室を開業する美容師も少なくない。
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人民中国インターネット版 2012年7月