ロマンのひとときを花で演出 フラワーデザイナー
王焱=文 肖越=写真提供
フラワーデザインは団体作業だ。実際に花を飾る作業は装飾技師が仕上げる。写真は装飾技師に作業を指示する肖さん |
花嫁なら誰でも美しくてロマンチックな空間での挙式に憧れることだろう。フラワーデザイナーは、夢のような雰囲気を演出する上で重要な役割を果たす。彼らは色とりどりの美しい花卉を自在に使用し、新郎新婦のために幻想的な結婚式場を作り上げる。
デザイナーの「絵具」である生花
肖越さんは、北京茉莉苑花芸公司のフラワーデザイナーだ。彼女の説明によると、フラワーデザインは、今すでに「硬直的需要」(価格変動に左右されない需要)がある業種となった。フラワーデザイナーは、花材の組み合わせや配列によって、会場の独創的な雰囲気を引き立たせる。結婚式以外に、さまざまな会議やイベントでも、フラワーデザインは欠かせない存在だ。
フラワーデザイナーは、ある程度の美術的素養が求められる仕事だ。肖さんは北京服装学院の出身で、かつて工業製品のデザインに携わっていた。2011年の初め、茉莉苑花芸公司は彼女の美術的センスに注目し、フラワーデザイナーとして招いた。「フラワーデザインは当時の私にとって、まったく未知の分野でした。でも、女性は自然と花に魅了される性質だからなのか、私は楽しみながらこの新しい仕事にチャレンジできました。その後、生花は私にとってまるで絵画に使用される絵具のようになりました」と彼女は当時を振り返った。
模倣から創作へ
絵を学ぶ人は、まず絵具を熟知しなければならないように、新人のフラワーデザイナーもまず始めに、さまざまな花の名前、色つや、質感、入荷シーズンなどを覚え、さまざまな花の組み合わせを試しながら、全体的な印象を確認したり、また結婚披露宴や商業見本市の会場へ足を運び、他の人々の作品から学ばなければならない。「絵を学び始めたときと同じように、まず他の人々の作品をモデルにするところから始まります」と彼女は語った。
大体約2、3カ月働くと、自らデザインに携わることができるという。「初めのうちは、他の人々の作品を模倣することが多いです。他の人の会場でフラワーゲートを見かけると、私もそれを真似て、会場のすべての入り口にフラワーゲートを設けました。しかし回数を重ねるごとに、その場の状況に合わせて臨機応変に対応できるようになりました。例えば会場の天井が低い場合、フラワーゲートを使うと、より重苦しい感じになります。それで、入り口の両側で花柱を立て、上方部をできるだけ開放的で明るい感じになるようにしています」と肖さんは言った。
顧客の本当の好みを理解する
仕事を受けたあと、フラワーデザイナーは会場を訪れて事前に下見を行い、それから顧客と会って話し合い、彼らの希望や好みを理解する。
時には、顧客の好みを巧みに聞き出す必要がある。肖さんは「あるカップルは最初、白と緑のコーディネートを希望していたのですが、これまでにデザインした作品やサンプルを彼らに見せると、白と緑でコーディネートされたものよりも、オレンジ色のサンプルに惹かれていることに気づきました。そ して話し合いを続けていくうちに、このカップルは、他のカップルがみな白と緑のコーディネートを選んでいたので、自分たちも同じカラーを希望していただけだったと分かりました。結局、オレンジ色を基調にデザインし、彼らは非常に満足していました」と語った。
フラワーデザイナーは、予算に合わせてベーシックなプランを提案し、また顧客からのフィードバックによって絶えず修正や調整をする。一般的なサラリーマンの場合、結婚式でのフラワーデザインの予算は約1万元だそうだ。
現場での指揮と配置
通常、フラワーデザイナーは作業チームを率いて、結婚式または展覧会が始まる前夜に、現場の飾りつけを始める。しかし、生花の水分を十分に確保するため、最後の作業は当日の早朝に完成させなければならない。肖さんは「最も忙しかった日は、1日で4つの結婚式場を担当しました」と語った。
とても疲れるが、非常に大切な作業だ。ある日、肖さんは赤とピンクの花を基調にしたが、現場で飾り付けをした際、照明係が青い光を使ったところ、赤い花が黒くなってしまったことに気づき、ただちにやめさせた。
フラワーデザイナーの月給は、大体5000元くらいだ。「経済が発展すればするほど、フラワーデザインに対する需要も増えます。中国のフラワーデザイン業界はスタートしたばかりですから、チャンスに満ちています。自分自身の作品によって業界全体の発展を促進できたらと願っています」と彼女は今後の期待も込めてそう語った。
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