警察にもできない人助け解錠救援作業員
王焱=文・写真
ある日の早朝、北京市豊台区の集合住宅地内で住人がゴミを捨てるために外へ出たところ、家の中にいた子どもが不注意にも内側から施錠して、閉じ込められてしまった。親は外出時に鍵を携帯しておらず、子どもは、施錠された家の中で大声で泣いていた。切迫した状況下で、親は助けを求めて110番や119番などに電話したが、警察官や消防隊員はすべて防犯ドアの錠前に対して、なすすべもなくお手上げだった。隣人からの意見に従って、親は住宅地内にある解錠サービスの店に電話をかけた。それから10分以内に、王向明さんが現場に駆けつけてきて、1分もしないうちにドアを開けた。彼は、当時の状況を思い出しながらこう語った。「その場にいた警察官や消防隊員はすっかり驚き、こんなに速く解錠するのを見たのは初めてだと言っていました」
トラブルの救助は24時間対応
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30歳の時に王さんは、仕事の合間に施錠具を分解して、その仕組みを模索し自作で解錠具を製作した。2003年のある日、王さんは解錠救援作業員を車で解錠の依頼主の家まで送り届けた。意外なことに、その作業員はかなり時間をかけても解錠することができなかったので、王さんが少し自分の腕を試してみたところ、たちまち解錠できた。会社にこのことが知らされた後、王さんは専門の解錠救援作業員になった。
王さんによると、解錠サービス会社は北京市内に多くの拠点を設けており、すべての拠点が半径3キロの範囲をカバーしている。いつも一人から二人の作業員が常駐しており、24時間対応だ。電話で依頼を受けると、緊急度を見極めて10分から30分以内に現場に到着してトラブルを解決しており、費用は100元から240元くらいだ。「解錠依頼の電話は一日に5件から8件くらいあります。鍵を紛失している場合は、自作の工具で解錠します。もしドアの錠前が壊れていたり、鍵穴に挿している鍵が折れている場合は、ドアをたたいたり、こじ開けたりしようとはせずにドアを傷つけない方法で、施錠具を取り出します。その後、施錠具を修理するか新しいものに取り替えます」と王さんは語った。
解錠よりも難しい「解人」
王さんからすれば、資格に適った解錠救援作業員になるには、解錠作業よりも家主の身分を確認することの方がもっと重要だ。彼は以前に生じた出来事を語ってくれた。「ある時、家の防犯ドアが開かないと電話連絡してきた男性がいました。私たちは現場に到着して依頼主の身分証を確認したところ、現場と依頼主の住所や家屋番号が一致していました。同行していた作業員が解錠に取り掛かろうとしましたが、私は依頼主に不動産権利証の名義人は誰かを尋ねました。彼は自分の妻だと答えました。そこで私は依頼主に奥様と連絡を取るように求めました。しかし彼は、妻は外国にいるので連絡が取れないと言い、私にドアを開けるように強く求めてきました。仕方がないので、警察に連絡して現場に来てもらいました。そして警察は、依頼人がすでに離婚しており、家にある資産は彼のものではないということを突き止めました。その後、彼の前妻も現場に来て警察に状況を話し、依頼人は警察に連行されて取調べを受けることになりました」。話の最後に王さんは語った。「もし作業前に相手の身分を厳しく確認しなかったなら、家主の財産が損失を被っただけでなく、自分自身と会社に対する法廷闘争につながったかもしれません」
潔白な人だけが学べる解錠
この数年、カードキーを使用する電子ロックから指紋を識別する生体認証オートロックまで、さまざまな新しい施錠具が次々に登場している。解錠業務への技術的要求も次第に高まっている。解錠救援作業員の報酬も、それに伴って上がっており、月収が5000元に達することもある。解錠を学びたい人も徐々に増えており、解錠技術に関連した職業訓練校も出現した。申し込み条件は身分が「潔白」で、公安機関が発行した「無罪経歴証明書」が必要だ。そして、国家が定める基準により職務グレードが初、中、高の3階級に分かれ、自分のレベルに合ったグレードの試験を受ける。王さんは現在、北京修理業務職業訓練校で施錠具修理課程の非常勤講師をしている。講師になったことについて王さんはこのように語った。「以前、私が解錠技術を学びたかった時には、誰も快く教えようとしてくれませんでした。今や私は技術を身につけることができましたが、学ぶ意欲のある人々には惜しみなく技術を伝授したいと思っています」
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人民中国インターネット版 2012年9月10日