People's China
現在位置: コラム私のしごと

マイカー増で教習生も増加 適性重視の運転指導員

 

王焱=文・写真

教習生を指導している王さん。教習生は1日大体4、5時限の講習を受ける。指導員の勤務時間は午前の部が8時から正午まで、午後の部が13時から16時半まで、そして17時半から夜間の部が始まり、20時頃に1日の勤務が終了する

経済の急速な発展により、一般家庭でもマイカーが急激に普及している。現在、中国のマイカー保有台数は、すでに10年前の10倍に達しており、一部の大都市では「ナンバープレートによる運転制限」や「新車購入制限」などの政策を実施しているが、教習所に通う人々は増加の一途をたどっている。

突発事故防止に細心の注意

午前7時半、指導員の王希国さん(39)は朝日を迎えながら、北京市にある海淀教習所のコースへ歩いて向かった。自分用の教習車のところに着くと、まず車の点検をし、それから車の内外をきれいにふいて手入れをした。そのころ、時計の針はちょうど8時を指し、スピーカーから音楽が流れ、彼は数百名の指導員と共に教習車の前に整列して、教習生を迎えた。

現在、多くの教習所ではマンツーマンの指導が主流だ。指導員は一見ただ車の助手席に座って、教習生に時折手ほどきしているだけのように見える。しかし実のところ指導員は、絶えず運転に細心の注意を払い続ける必要がある。王さんは「指導員は教習生の運転に全責任を負わねばなりません。特に路上教習は責任が重大です。時には、非常に緊張している教習生の緊張をほぐすために世間話をしますが、気は少しも緩められません。突発的な事故を防ぐため常に前後左右に注意を払う必要があります」と語った。

教習生が多いので、6、7日前には教習予約を入れておく必要がある。それで、教習生が通い続ける限り、雨が降っても風が吹いても時間を遅らせることはできない。2012年7月に北京市は暴風雨に見舞われた。王さんによると「当日の大雨が降りしきる午後、コース内でポールとポールの間を運転する技能講習が行われました。運転操作によっては、車外に出て運転指導を行う必要がありました。私は傘を差して、いつも通り運転席の外に立ち、車に付き添ってゆっくり移動しながら、教習生を指導しました」

長距離ドライバーから転職

王さんは免許を取得して、すでに20年になる。1990年代に彼が就いていた仕事は長距離ドライバーで、収入も非常に良かった。しかし家を不在にすることが多く、家庭を顧みることができなかった。その後、彼は友人の紹介で海淀教習所に来て指導員資格を取得し、この仕事を始めた。

「指導員の収入は長距離ドライバーの収入よりも低く、初めのうちは、ただ家から近いので、とりあえずやってみようと思いました。しかし私の指導によって、一から習い始めた教習生たちが路上で運転できるようになった時には、大きな達成感がありましたし、教習生たちから尊敬を得ることができ、徐々に指導員の仕事が好きになりました」と王さんは述懐している。

指導員も絶えず学習が求められる。運転免許試験の科目は年を追うごとに内容が豊かになり、難易度も上昇している。

「新しい科目が加えられるたびに、教習所では事前に指導員を対象に研修会が開かれます。それを上手に教えるには、まず私たち自身が新しい科目の内容に精通している必要があります」

毎年2000万人が免許を取得

この数年、中国で運転免許を所持する人の数が、毎年2000万人を超える速度で増加している。王さんが指導員を始めたばかりの頃、教習生の多くは就職のために運転を習いに来ており、彼らの年齢層や経歴もほぼ同じだった。しかし現在では教習生の職業もさまざまで、年齢層や性格、社会的地位も多種多様だ。

「教習生の個性や状況に応じて、教え方を変える必要があります」。そして王さんは「60歳以上の高齢者が運転を学び始めた場合、往々にして運転操作に思考がついていきません。彼らが徐々に操作を身につけるようにするため、指導員は特に辛抱強く指導し、同じ練習を繰り返さなければなりません」と語った。

教習生の中には内向的で気が弱い人もいる。彼らがミスをした時には、特に明るく励まして畏縮せずにミスから学び、着実に成長するように助けなければならない。注意が散漫で落ち着きのない人は、すぐに良くない運転習慣を身に付けてしまう。それで指導員は適宜、彼らを矯正する必要がある。「教習生も時には、してはいけない過ちを犯してしまうこともあり、その時には厳しく叱責し訓戒します。教習生たちも厳しい指導が自分自身の進歩につながることを理解しています。これもすべて、彼らが後に大きな事故を起こさないよう強く願うからこそなのです」と王さんは心の内を話してくれた。

王さんが海淀教習所で指導員になってからすでに10年の月日が流れ、数え切れないくらい大勢の人々に運転を指導した。「私たち指導員が教習生に与える影響は非常に大きいものです。教習生が運転を習得後、どこでまた何年運転したとしても、彼らは初めてハンドルを握った時の思い出や私たちのことを忘れないことでしょう。私たちが彼らに与えた助言や矯正の一つ一つは、彼らの運転に生涯にわたって生かされることでしょう」

 

人民中国インターネット版 2013年3月19日

 

同コラムの最新記事
マイカー増で教習生も増加 適性重視の運転指導員
顧客の高評価で収入アップ ツアーコンダクター
経済発展で利用者増加フリーランスの栄養士
ロマンのひとときを花で演出 フラワーデザイナー
昔も今も快適な毎日を応援 足つぼマッサージ師