経済発展で利用者増加フリーランスの栄養士
文・写真=王焱
生活水準が向上していくにつれ、飲食に伴う栄養摂取と健康が、ますます重視されるようになっている。新たなタイプの職業である栄養士も人材市場で引く手あまたとなっている。
栄養・健康知識を市民へ普及
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今年8月、ある企業で栄養についてのプレゼンテーションを行っている楊さん。 「栄養と健康に関するありがちな誤解」は近頃人気の講座だ |
楊さんは「栄養士とは、市民の栄養と健康を促進する専門家です」と自分自身の仕事を紹介しながら次のように語った。「ここ数年で、人々の栄養と健康に対する関心が日ごとに高まり、自然・健康食品と銘打った食料品や飲料品が溢れています。しかしほとんどの人々は依然、必要な栄養の知識に欠けており、何をどのように、またどれくらい食べるべきか理解していません。それ以外に、人々は多くの慢性的な疾患を抱えており、それらの疾患は、日常的に乱れた食習慣や栄養バランスの不均衡に起因しています。現在のこうした状態は、栄養士による健康的な食事についてのプレゼンテーションや指導の必要性を大いに高めていると言えます」
そして楊さんは、以前にあったエピソードを紹介してくれた。「私が普段ひいきにしている果物屋の閉店時間が、だんだん早くなっていることに気づきました。そこで老店主に尋ねてみると彼は、空が暗くなってくると、お金がはっきり見えなくなってくる。お釣を渡す時に、50元札を10元札と見間違えて客に渡してしまうことさえあるから、早めに店を閉めるほうがいいと答えました。それを聞いて私は、この老店主はビタミンAが不足しているのではないかと思いました。そこで、彼にニンジンとレバーを多めに取るようにアドバイスしました。1カ月後、この老店主の営業時間はもっと長くなり、視力も回復してきたようでした」
顧客にぴったりな指導プラン
スリムになりたい大勢の人々、体重過多になることを恐れる妊婦、子どもの発育に気を揉む年若い両親、受験生を持つ保護者、糖尿病などの慢性疾患の患者、高齢者を介護している家庭など、彼らはみな栄養士の所に行って、家族や自分自身のことを相談している。
楊さんは、ある顧客のために立案した食事プランを取り出した。プランは表の形で、1日3食の栄養摂取量などが算出され、アドバイスが記されていた。「プランはすべて顧客の体調や健康面での必要を考慮して計算がなされ、設計されます」と楊さんは語り、さらに「まずは初歩的な診断として、顧客の身長と体重が健康標準を満たしているか確認します。次に、1週間にわたって食事の献立を調査し、1日3食、何をどれくらい食べたか毎日記録してもらい、どの栄養素が不足していて、何を過剰に摂取しているか分析します。最後に顧客の必要にぴったり合った、食生活の改善プランを立案します。このほかに顧客の体調の変化や季節に応じて、プランに絶えず調整を加えます」と業務について説明してくれた。
楊さんによると、前述のような栄養指導を1カ月間にわたって顧客に行った場合、料金は3000元から5000元に達する。しかし業界で、ある程度名の知れた栄養士になって初めて、このような仕事の依頼を受けることができる。
成長はマラソンのごとく
資格試験に受かったばかりで経験の浅い栄養士は、一般的に栄養食品会社のカスタマーサービスやメディアの健康に関するコラムの編集などから始めて、少しずつ知識を増やし知名度を上げていく。学校や企業の食堂で栄養士を務めることも経験を積む優れた機会だ。
「ブログも大切な宣伝媒体です」楊さんはさらにこう語った。「私も毎日時間を取ってブログのチェックと更新を行っています。健康的な食生活や安全な食品についての記事を書いて紹介しています。ブログを通じて知り合った顧客も少なくありません」
さらに栄養士にも同業者による組合がある。楊さんは「栄養士の組合は、新人をメディアや企業に紹介する機会を設け、また栄養士同士で互いに学び、磨き合える場を提供しています」と語った。
「栄養士の成長はまるでマラソンのようです」。そして楊さんは感慨深げにこう続けた。「一過性の勢いに溢れている人ではなく、持久力のある人こそ生き残ることができる世界です」
人民中国インターネット版 2012年12月14日