程永華大使に本誌が単独インタビュー
中日関係発展に大きなチャンスを
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――昨年は中日国交正常化40周年でした。今年は中日平和友好条約締結35周年です。中日関係のこれまでの発展は、必ずしも順風満帆ではありませんでしたが、大使はこれをどのように見ておられますか。
程永華大使(以下程) 中日国交正常化から40数年、両国政府と各界の人々のたゆまぬ努力を通じて、両国関係は各界各層において、いまだかつてないほどの長足の発展を遂げました。
政治的には、双方は四つの政治文書を発表し、両国関係の基本原則を確立し、戦略的互恵関係を構築し推進するという大方向を明確にしました。
経済的には、両国の二国間貿易額が国交正常化時の10億ドルから2012年には3294億ドルに増加しました。中国と日本は互いに重要な経済貿易のパートナーとなり、中国は日本の最大の貿易パートナーで最大の輸出市場となり、日本は中国の主要な外資の供給源で、対中投資額は累計で800億ドルを超えています。
人的交流や文化交流の面では、両国の人々の往来は延べ500万人余に達し、友好関係を結んだ省や市、県は250組の多数に達しています。毎日、百近い航空便で延べ約1万8千人の人々が両国間を往来しています。
このように中日関係の発展は、両国に大きな利益をもたらし、両国民に巨大な実益をもたらし、またこの地域の平和と安定、繁栄を力強く維持し、促進してきました。
同時に、国交正常化以来、両国関係は必ずしも順風満帆ではなく、風雪を経て、障害を排除しながら絶えず前進してきたことも見ておかなければなりません。中日関係の発展の過程を振り返るとき、我々はいくつかの重要な示唆を得ることができます。
第一には、両国関係の平和、友好、協力の大方向をしっかりと把握しなければならないということです。中日両国が「和すれば共に利あり、闘えば共に傷つく」ということは、歴史が繰り返し証明してきた道理です。平和、友好、協力の道を歩むことは、双方にとって唯一の正確な選択であり、両国民の根本的利益に合致し、大勢の赴くところ、人心の向かうところです。現在、中日関係が大きな困難に直面し、各分野での協力に停滞や後退が出現し、両国の国民感情がひどく傷つけられていますが、こうしたことは我々が目にしたくないことであり、駐日大使として私は深く心を痛めています。双方はこうした局面を転換するよう努力しなければなりません。
第二に、彼我の発展を客観的に認識し、正確に対応しなければならないということです。中国は終始変わらず平和的発展の道を歩み、「隣国と善を為し、隣国をもって伴と為す」という周辺諸国との外交方針を実行し、平和を永続させ、共に繁栄する調和のとれた世界の建設の推進に力を注ぎ、すでに世界の平和と安定、発展にずっと貢献して来たし、これからもそうです。日本は戦後、戦前の痛ましい教訓を学んで平和的発展の道を歩むことを選び、大きな成果をあげました。日本が引き続き、平和的発展を堅持するよう希望します。中日両国は第四の政治文書の中で、互いに協力するパートナーであり、互いに脅威とならず、相互に相手側の平和的発展を支持することを確認しました。この共通認識は、戦略的かつ現実的な意義を有しており、中日双方は実際行動で、この共通認識を実践し、両国の政治的、戦略的相互信頼を増進しなければなりません。
第三に、敏感な問題を適切に処理し、中日関係の大局を守らなければならないということです。中日両国の間には、歴史的なもめごともあったし、また現実の矛盾もあり、非常に敏感な問題も少なくなく、少しでも気を許せば、国民感情に影響を及ぼし、両国の民意の対立を引き起こすかもしれません。昨年、日本政府が不法にも「島を購入した」ことで、釣魚島問題の先鋭化を引き起こしました。双方は、対話と交渉を通じて、矛盾と意見の相違を適切に処理し、中日関係の大局への影響と衝突を避けなければなりません。最近、日本国内で歴史問題をめぐって、またも少なからぬ消極的な傾向が現れ、アジア諸国と国際社会から憂慮され広く関心を持たれています。「過去を忘れず、後々の戒めとし」、日本側は歴史を正確に認識し、これに対処し、「歴史を鑑とし、未来に目を向ける」ことを真に実行し、実際行動でアジアの隣国と国際社会の信頼を得るようにしなければなりません。
――昨年の日本政府の「島購入」から、中日関係は国交正常化以来、いまだかつてない困難に遭遇しました。双方は現在の危機にいかに対処すべきでしょうか。
程 釣魚島は中国固有の領土でありますが、この問題には特殊な歴史的経緯があり、また領土・主権に関することであり、歴史問題にもかかわり、非常に複雑で敏感な問題です。だからこそ、中日両国が国交正常化を実現した時と平和友好条約を締結した時に、両国の指導者は「そのままにして、今後の解決に待つ」という重要な了解と共通認識に達したのです。長い間、釣魚島問題は、たまには突出したこともあったとはいえ、全体から言えば、双方は了解と共通認識に基づいて、おおむね関連する問題を適切に処理してきました。
昨年9月、日本政府が中国側の強い反対を顧みず、「島購入」に固執し、中国の領土・主権をひどく侵犯し、これまでに両国指導者が達成した了解と共通認識に違背し、中国人民の強い憤慨を引き起こしました。中国政府は強烈に反応せざるを得なくなりました。これは中国の領土・主権を守るためであり、また中日関係の大局を守るためでもあります。
現在、両国関係は国交正常化以来最も厳しい局面に直面しており、釣魚島問題は「喉に刺さった魚の骨」であり、両国関係の「腹の中のデキモノ」になっています。この問題が適切に解決されなければ、中日関係がさらに後退する危険があります。中国側の釣魚島の主権問題における立場と主張は明確であり、領土・主権を守る決心は確固不動ですが、同時に中国側は一貫して、対話を通じて関連する問題を適切に解決することも主張し、そのために積極的に努力しています。日本政府が歴史と現実を正視し、中国側と同じ方向に進み、釣魚島問題を適切に処理し、コントロールする方法を探し当て、両国関係の正常な発展を回復するよう推進してほしいと希望しています。
――中日関係の前途をどのように展望しますか。どこに積極的な要素を見つけることができますか。
程 現在の国際構造には、大きな再編が起こっています。アジア一体化は深く進行し、中日両国は共に重要な発展の段階に立っています。新たな情勢下で、中日関係の発展は大きなチャンスに直面しています。
一つには両国がそれぞれに発展するチャンスです。中国はまさに「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を全面的に実現する肝心な時期にあり、「二つの百年」(中国共産党成立百年までに「小康社会」を実現することと、新中国成立百年までに現代化を基本的に実現すること)という奮闘目標を実現するためには、さらに一歩、改革開放を進め、経済発展のモデル転換を加速し、グリーン・リサイクル・低炭素による発展に力を入れて推進しなければなりません。日本はまさにさまざまな施策をもって経済のデフレ脱出を推進し、新たな成長を実現しようとしています。両国の経済は相互補完性が顕著になり、双方の協力の潜在力は巨大です。日本の省エネ、環境保護、循環型経済の面での成熟した技術と経験は、中国の資源節約型で環境にやさしい社会の建設に役立ち、中国の持続的発展と都市化に伴ってもたらされる巨大な市場空間も日本の経済に活力を注入するでしょう。
二つ目は、アジアの高速成長のチャンスです。アジアは現在、世界で最も発展の活力と潜在力を持つ地区の一つであり、世界経済の重要なエンジンであり、近年、世界の経済成長に対する貢献度は50%を超しています。中日両国は共に、アジアを自らの発展の拠り所としており、アジア向けの貿易総額はそれぞれ、対外貿易総額の50%を超しています。現在、アジアの地域協力の状況は良好で、中日韓のFTAや地域の全面的な経済パートナーシップ(RCEP)の交渉が相次いで始まり、この地域のさまざまな建設が盛んに行われています。中日双方はそれぞれの優位性を発揮し、協調と協力を強め、一層多くの共通の利益部分を探し求め、地域協力を推進するために力を合わせなければなりません。
三つ目は、国際構造の変化のチャンスです。世界は多極化し、経済のグローバル化はさらに深く発展しています。中国と日本は、世界の第二、第三の経済体として、グローバル経済の管理と国際事務において重要な責任を担っており、双方は貿易保護主義に反対し、資源・エネルギーの安全を守り、防災・減災や反テロ、海賊駆逐などの面で広範な共通の利益を有しています。これは、双方が国際関係での協力を強化し、中日の戦略的互恵関係の内容を充実するうえで有利な条件を提供しています。
私は、中日関係はすでに深くて厚い蓄積と着実な基礎を有しており、ただ中日の間の四つの政治文書の原則と精神を基礎とすることを堅持し、戦略的な高みと長期的な見方から出発し、両国関係を困難にさせている問題をできる限り速やかに解決し、両国関係の正常な発展を回復させさえすれば、中日の戦略的互恵関係は広々とした発展空間を持ち、両国民の福祉を増進し、アジアと世界の平和、安定、繁栄にいっそう大きく貢献することができると思っています。
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