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~先人が植えてくれた樹木のおかげで、後人は涼をとることができる~

 

稲垣信

2015年5月23日の中日交流会が北京の人民大会堂で開催された。各界3,000人余りの日本人がこのイベントに参加した。中国国家主席習近平氏はスピーチで、「前人栽樹,後人乗涼(先人が樹木を植え、後人が涼をとる)」という成語を使用した。「先人が植えてくれた樹木のおかげで、後人は涼をとることができる」が直訳の意味になる。これは、「先人が後人の幸福を形作る」ということを意味している。この言葉は今の私の日中友好活動を支える言葉となっている。 

私は12年前、「これから中国の経済成長が著しく発展するから、第二外国語は中国語を学んだほうが就職に有利だよ」という親の些細な助言から、大学で4年間中国語を履修した。中国から伝来した漢字を使用する日本人の私にとって、英語よりも中国語は日本の漢字から意味を推測しやすく、親近感を感じたのを今も覚えている。それから今まで「中国」と関わりを持つとは思いもよらなかった。 

大学1年生の冬、「百聞は一見にしかず」の思いから上海への短期留学を経験し、「日本人から見る中国と中国人から見る日本」に大きな隔たりを感じ、日中友好の必要性を感じた。帰国後、日本で何か日中友好に微力ながらも貢献できないかと思い、学生時代から現在に至るまで、私は神奈川県日中友好協会青年学生部(チャイ華)に所属している。チャイ華とは、神奈川県日中友好協会青年学生部会の中にある日中友好ボランティアグループである。日中友好イベントの企画・運営を行うのが主な活動である。しかし、チャイ華に所属してみると所属している人たちは昔、青年・学生であった人たちが大半を占めているのが現状で、日中友好に興味・関心がある青年・学生は私を含め、わずか少数であった。また、日中友好イベントを企画しても参加者はそれに比例して昔青年・学生であった年配の日本人の方が多く参加しているのが現状であった。

しかし、私は文頭でも紹介した中国国家主席習近平氏が中日交流会でスピーチした、「前人栽樹,後人乗涼(先人が樹木を植え、後人が涼をとる)」という成語が頭をよぎることがよくある。何十年も前から現在まで、日中友好イベントを企画・運営している神奈川県日中友好協会の方々・チャイ華の方々が行ってきた活動の上に、現在のチャイ華があるとひしひしと感じている。私は先人になぜ日中友好協会に所属しているのか、チャイ華に所属しているのか、なぜ日中友好活動が必要なのか、しっかりと先人から聴き、今後も活動していきたいと思っている。日中友好協会の活動の意味・意義であったり、チャイ華の活動について理解を深めたいと考えている。現在、チャイ華の会員やイベント参加者は少しずつではあるが日中友好に興味・関心を抱く日本・中国の青年が増えてきていると実感している。

また、この先人が行ってきた日中友好の活動を絶やすことなく、継続して行うことが大切だと先人の方々の背中を見る限り思う。これからの若い世代が日中友好について考えたり、日中友好交流が出来るイベントを先人が作り、絶やすことなく継続してきた。私も積極的に企画・運営をしていきたいと考えている。

日本と中国とでは、異なることも多いが日本人も中国人も後人の幸せを祈るということに関しては同じである。後人の幸福を形作るには、今何をしたらいいのか?どのようにしたらいいのか?たとえ両国の政府やマスコミが不協和音を奏でても、両国国民は柔らかな風と小雨のような温厚路線を引き続き主張する必要がある。雨水により、樹木は生い茂り、後人に恩恵をもたらすであろう。民間交流、特に日中両国の青年の友好を促進することが大切だと痛切に感じている。

 

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