中国共産党第十七回全国代表大会における報告


十、「一国二制度」の実践と祖国の平和的統一の大業を推進する

香港と澳門の祖国復帰以来、「一国二制度」の実践は日ましに豊富なものとなってきた。「一国二制度」はまったく正しいものであり、強大な生命力を持つものである。「一国二制度」の方針に基づいて、祖国の平和的統一を実現することは、中華民族の根本的利益に合致するものである。

香港と澳門の長期的繁栄、安定を維持することは党が新たな情勢のもとで国を治め、政務を司る中で直面する重要な課題である。われわれは「一国二制度」、「香港人による香港統治」、「澳門人による澳門統治」、高度の自治という方針を揺るぐことなく貫徹し、香港特別行政区基本法と澳門特別行政区基本法に厳格に則って事を運ぶ。二つの特別行政区の政府が法律に基づいて施政を行い、経済の発展に力を入れ、民生を改善し、民主を推進することを全力をあげてサポートする。香港と澳門の各界の人々が国を愛するとともに、香港を愛し、澳門を愛する旗じるしのもとに心を一つにすることを奨励し、社会の和睦を促進する。大陸部と香港、澳門との交流と協力を強化し、それぞれの強みを相互補完しあって、ともに発展することを実現する。積極的に香港と澳門の対外交流をサポートし、外部の勢力の香港と澳門の事務に対する干渉に断固反対する。香港同胞と澳門同胞は香港と澳門を上手に管理し、建設する英知と能力を持っており、香港と澳門はすでに、そしてまた続いて国の現代化建設のために重要な役割を発揮し、偉大な祖国はいつまでも香港と澳門の繁栄安定の確固不動の後ろだてとなることであろう。

台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは中華民族のすべての子孫の共通の願いである。われわれは「平和的統一、一国二制度」の方針および現段階における海峡両岸関係を発展させ、祖国の平和的統一を推し進める八項目の主張を順守し、一つの中国の原則をゆるぐことなく堅持し、祖国の平和的統一を勝ちとる努力をけっしてあきらめず、台湾の人民に期待を寄せる方針を決して改めることなく貫徹し、「台湾独立」を企む分裂活動に決して妥協するこくなく反対しつづけ、両岸関係の平和的発展というメーンテーマをしっかりととらえ、誠意をこめて両岸同胞の福祉をはかり、台湾海峡地区の平和を求め、国家の主権と領土保全を擁護し、中華民族の根本的利益を守る。

一つの中国の原則を堅持することは、海峡両岸関係の平和的発展を実現するための政治的基礎である。海峡両岸は現在まだ統一されていないが、大陸部と台湾が同じく一つの中国に属する事実はずっと変わっていない。中国は両岸同胞の共通の故郷であり、両岸同胞は協力してわれわれの共通の故郷をちゃんと守り、よく建設すべきである。いかなる台湾の政党であれ両岸が一つの中国に属することを認めるならば、われわれはかれらと交流・対話、話し合い・交渉をおこなうことを願っており、いかなる問題でも話し合うことができる。一つの中国という原則をふまえ、海峡両岸の敵対状態を正式に終結させることについて話し合い、平和の合意を達成し、海峡両岸関係の平和的発展の枠組みを構築し、海峡両岸関係の平和的発展の新しい局面を切り開くよう、われわれは丁重に呼びかけている。

十三億の大陸部同胞と二三〇〇万人の台湾同胞は血のつながっている運命共同体である。およそ台湾同胞にとってプラスとなること、台湾海峡の平和擁護にプラスとなること、祖国の平和的統一のプロセスを速めることにプラスとなることであるかぎり、われわれは必ず最大の努力を払ってそれを立派に行う。われわれは台湾同胞を理解し、信頼し、関心を寄せているのであり、これからも引き続き広範な台湾同胞にメリットをもたらす政策と措置を実施し、充実させ、法律に基づいて台湾同胞の正当な権益を保護し、海峡西岸及び台湾業者のビジネスが相対的に集中しているその他の地域の経済の発展をサポートする。両岸同胞は交流を強め、経済文化の交流を強化し、引き続き分野を広げ、グレード・アップをはかり、直接の「三通」(直接の通信、通航、通商)を促し、相互の感情がさらに親しいものとなり、相互協力がより深まるようにし、中華民族の偉大な復興のためにともに努力しなければならない。

当面、「台湾独立」を企てる分裂勢力は分裂活動に拍車をかけているが、それは両岸関係の平和的発展をゆゆしく妨げるものである。両岸同胞はともに「台湾独立」分裂活動に反対し、それを食い止めるべきである。中国の主権と領土保全は完ぺきなものであり、それを分割することは許されない。中国の主権と領土保全にかかわるいかなる問題は、台湾同胞を含む中国人民全体でともに決定しなければならない。われわれは最大の誠意を持って、最大の努力を払って、海峡両岸の平和的統一の実現を望み、いかなるものが、いかなる名義で、いかなる方式によって台湾を中国から切り離すことも絶対許さない。

海峡両岸の統一は中華民族の偉大な復興のための歴史的必然である。国内外の中華民族の子孫が緊密に団結し、ともに奮闘することにより、祖国の完全な統一は必ずや実現できるであろう。

十一、終始変わることなく平和発展の道を歩みつづける

当今の世界は、大きな変革と大きな調整の中にある。平和と発展は依然として時代のメーンテーマであり、平和を求め、発展を目指し、協力を促進する願いはすでに阻むことのできない時代の流れとなっている。世界の多極化は逆転することはあり得ず、経済のグローバル化が深く発展をとげ、科学技術の革命が加速され、グローバル及び地域間の協力は勢いよく発展しつつあり、国家間の相互依存は日増しに緊密化し、国際的勢力の均衡についていえば、世界の平和を擁護することに役立つ方向に向けて発展しており、国際情勢は全般的に安定している。

一方、世界は相変わらず非常に不安寧である。覇権主義と強権政治は依然として存在し、局地的紛争及びホットスポットの問題があちこちで起こり、世界経済のアンバランスの状況の厳しさが増し、南北の格差は大きくなっており、安全への伝統的および非伝統的な脅威は相互に交錯しあっており、世界の平和と発展は数多くの難問とチャレンジに直面している。

ともに発展のチャンスを享受し、さまざまなチャレンジに直面し、人類の平和と発展の崇高な事業を推進することは、各国人民の根本的利益にかかわるだけでなく、各国人民の共通の願いでもある。各国人民が手を携えて努力し、恒久の平和、共同の繁栄を目指す調和のとれた世界の構築を推進するよう、われわれは主張するものである。そのため、国連憲章の主旨と原則にのっとって、国際法と公認の国際関係の準則を守り抜き、国際関係の中で民主、和睦、協力、ウィンウィンの精神を発揚すべきである。政治面では相互に尊重しあい、平等に話し合い、ともに国際関係の民主化を推進するのである。経済面では相互提携し、それぞれの強みを相互補完しあうことで、ともに経済のグローバル化がバランスのとれた、国々にメリットをもたらすウィンウィンの方向へ発展するよう促す。文化の面では相互に参考しあい、異を残して同につき、世界の多様性を尊重し、人類社会の文明、繁栄、進歩を促進する。安全面では相互に信頼し、協力を強化し、いかなる時でも平和的方式で国際紛争を解決し、ともに世界の平和と安定を擁護し、戦争の手段を用いるべきではない。環境保護の面では相互に助け合い、協力して推進し、ともに人類が生存のよりどころとする地球という故郷を大切に守り抜くべきである。

現代中国と世界との関係には歴史的変化が生じており、中国の前途、命運は日増しに世界の前途、命運と密接につながるようになっている。国際情勢がいかに変化しようと、中国政府と人民は平和、発展、協力の旗じるしを高く掲げ、独立自主の平和外交政策を実行し、国家の主権、安全、発展の利益を守り、世界の平和を擁護し、共同発展を促進するという外交政策の主旨を守っていくであろう。

中国は終始変わることなく平和発展の道を歩むであろう。これは中国政府と中国人民が時代の発展の流れ及びみずからの根本的利益に基づいて行った戦略的政策決定である。中華民族は平和を愛する民族であり、中国は終始変わることなく世界の平和を擁護する確固とした力となるであろう。われわれは中国人民の利益と各国人民の共通の利益とを結びつけることを堅持し、公正な心をもって、正義を主張する。われわれは国が大小、強弱、貧富を問わず、一律に平等であることを堅持し、各国人民の発展の道を自主的に選択する権利を尊重し、他国の内部問題に干渉せず、みずからの意志を他のものに押しつけることはない。中国は国際紛争とホットスポットの問題の平和的解決に力を尽くし、国際及び地域の安全や協力を促し、いかなる形のテロリズムにも反対する。中国は防御的な国防政策を実行しており、軍備競争には加わらず、いかなる国にとっても軍事脅威になることはない。中国はさまざまな形の覇権主義と強権政治に反対し、永遠に覇権を唱えず、拡張も行わない。

中国は終始変わることなく互恵とウィンウィンを目指す開放戦略を実行する。われわれはひきつづき自らの発展によって地域と世界の共同の発展を促し、各方面との共通利益の接点を広げ、中国の発展を実現すると同時に相手側、とりわけ発展途上国の正当な関心事項にも配慮する。われわれは引き続き国際通用の経済貿易ルールに基づいて市場参入を拡大し、法律に基づいて協力関係のある者の権益を保護する。われわれは、国際社会が発展途上国の自主的発展能力の向上、民生の改善を支援し、南北格差を縮小することをサポートする。われわれは国際貿易と金融システムを完備し、貿易と投資の自由化、利便化を推進し、話し合いと協力を通じて経済貿易摩擦を適切に処理することをサポートする。中国は決して人をそこなって、自己の利をはかり、デメリットを他国に押しつける自己本位のことはしない。

中国は平和共存五原則をふまえてすべての国と友好協力関係を発展することを堅持する。われわれは引き続き先進諸国との戦略的話し合いをすすめ、相互信頼を深め、協力を拡大し、相互間の食い違いを適切に処理し、相互関係の長期的に安定した健全な発展を促す。われわれは善意をもって隣国に対処し、隣国を仲間と見なすという周辺諸国との外交方針をひきつづき貫徹し、周辺諸国との善隣友好と実務を重んじた協力関係を強化し、積極的に地域間の協力を繰り広げ、ともに平和・安定、平等・相互信頼、協力・ウィンウィンの地域環境をつくり出す。われわれは引き続き広範な発展途上国との連携と協力を強化し、伝統的な友好関係を深め、実務を重んじた協力を拡大し、力相応の援助を提供し、発展途上国の正当な要求と共通の利益を擁護する。われわれは引き続き多国間の外交活動に積極的に参与し、相応の国際義務を担い、建設的な役割を発揮し、国際秩序がより公正かつ合理的な方向に向かって発展するよう促す。われわれは引き続き各国の政党や政治組織との交流と協力を展開し、人民代表大会、政治協商会議、軍隊、地方、民間団体の対外交流を強化し、中国人民と各国人民との相互理解と友情を深める。

中国の発展は世界から離れることはできず、世界の繁栄と安定も中国から離れることはできない。中国人民は引き続き世界各国人民とともに、人類のうるわしい理想を実現するためにたゆまず努力することであろう。

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