中国企業の東証上場
|
東証に上場したポーチの白雲峰総裁(左)と斉藤惇・東証社長
|
東京証券取引所の上場部では、小沼泰之部長が中国企業の上場関係の業務に追われている。「2007年4月に、中国企業のアジアメディアが東京証券取引所に上場し、8月にはポーチも上場に成功しました。中国企業は海外で株式を上場する際には、東京もその選択の中に入れているようです」と小沼部長は述べた。
日本企業が中国に進出し、中国の製品が日本へ流れ込む時代から、中国の企業も日本で上場し、日本の投資者が日本にいながら中国企業に投資するような時代に変わってきた。ポーチの白雲峰社長は「私たちはきわめて厳しい審査を通して、東証1部に上場できました。弊社はSO2削減の装置を中国企業に提供する企業であり、日本企業から技術を導入する場合、同じ東証に上場している企業として、商談がすごくやり易くなりました」と、東京証券市場に上場するメリットを語った。
東京からの資金調達ができるようになったので、今までの脱硫の業務以外に、固体ゴミ、水処理も業務として展開していこうと白社長は考えている。「中国は、環境関連の技術、設備に対する需要が非常に高い。弊社の場合、2007年の売上げは前年度比で50%増だったが、新しい環境保護の分野に進出することによって、2008年にはもっと売上げを増加させていこうと考えています」と上場後の新しい展開について語った。
普通の中日関係へ
|
国際公共政策研究センターの田中直毅理事長
|
急激に変化している中日関係については、国際公共政策研究センターの田中直毅理事長は、本誌の取材に対して「日中両国は、普通の関係に入った」と分析した。ヒト、モノ、カネの移動は、日本から中国へだけでなく、日系企業の生産した商品がもう一度、日本に帰ってくるようになった。また中国企業も日本に進出している。ホンダが広州で作った乗用車、資生堂が北京で作った化粧品などは、今のところまだ日本へ輸出されていないが、将来どんな形で日本と関連を持つか、それは一つの課題だ。
「日本の優れたサービスは、日本に来て見ないと、口だけではなかなか説明できない」と、みずほ総合研究所中国室の鈴木貴元主任研究員は言う。資生堂の販売方式のように、モノを売るための接客だけではなく、商品知識の伝達などもサービスの中に入っている。
また、東亜キャピタルの津上社長の考えているように、金融による環境技術の移転に対するサポートも、サービスの一部分であろう。それによって日立や東芝などの環境技術、エネルギー技術もスムーズに中国に移転されるだろう。
かつては、中国政府が新日鉄から技術を導入してつくった宝山製鉄所が中日関係の確立に大きな影響を与えた。しかし、今日の森ビルは上海の新しいシンボルともいえる「環球金融センター」を建て、投資、設計、建設やテナントの募集、マネージメントなどを展開している。それは純粋なビジネスであり、政治的な意味からそれを見る人はほとんどいない。
企業は最適地へ投資する。これまでは沿海の開放都市で工場を建ててきたが、これからはブラザー工業のように、内陸部でも適地であれば工場をつくり、または三菱電線のように、今後有望な東北部に工場を建てる。
これが合理的な考えであり、合理的な考えから中日間の「普通の関係」が築かれる。それによって両国の企業や市民同士の交流は長続きする。安定的な中日関係は、まず「普通の付き合い」からスタートするものであろう。(本誌特約レポーター 陳言)
人民中国インターネット版
|