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日本救援隊が救ったもの

 

(3)心を動かしたニュース

 

四川大地震の発生後、日本の人々が寄せた同情は、自らの悲痛な経験から出たものだった。地震多発国の日本は、関東大震災や阪神大震災などの大地震の痛ましい記憶を持っている。大地震が被災者にとって何を意味するのか最もよく知っているのは日本人なのかもしれない。日本文部科学省は16日の緊急会議で、四川大地震を参考に考えると、小中学校の校舎の3分の1で耐震強化が必要となるとの見方を示した。日本人の地震に備える気持ちをよく表すニュースだ。

 

今回の地震発生と救援活動の展開のなかで、両国関係の改善にとって好材料となる2つの点が目立った。

 

1つ目は、日本から寄せられた同情と支援に対する中国世論の反応だ。前述した通り、中国側は日本の努力に対して高い評価を与えている。日本の産経新聞も、「対日感情が好転 国際緊急援助隊の派遣で」と題した記事で、中国側の肯定的な反応を伝えた。時事通信は、青川で捜索活動を行った救援隊や報道陣に、被災者が配給された救援物資を分けようとしたことを紹介した。中国側のこのような好意あふれた反応は日本でも思いがけないものとして受け取られ、日本側の救援活動関係者を大きく励ますものとなった。

 

もう1つは、中国の人々が地震に直面して見せた崇高な道徳心だ。「産経新聞」の福島香織記者は16日付けの「四川大地震の影響で空前の募金・献血ブーム」という記事で、災害に直面した中国人の姿を、敬意を持って次のように書いた。「『どうしても献血したい。予約はできないの?』。年配の女性が献血車の受付に迫っていた。『すみません、午前5時から並んでいる人もいるんです』。係の青年が丁寧に断る。(中略)献血の受付をすませた陳艶さん(21)は午前5時に起きて郊外からバスに乗ってきた。『昨日も来たのだけれど、時間が遅すぎて献血できなかったから、今日は絶対に、と思ってきた。インターネット募金も100元(1元は約15円)したわ』。大学を卒業後も仕事が見つからずに無収入でいる陳さんだが、『私より被災者の方が大変だから』という」。

 

幼稚園教諭(瞿万容さん)が園児を命に換えて守ったというニュースも日本人を感動させた。「もし世界中がこのような人ばかりなら、世界はきっと平和になるに違いない」とある日本の読者は言う。ニュースや画像によって世界中に伝えられた、中国人が力を合わせて共に助け合う姿や、温家宝総理が救援活動に敢然と立ち向かう姿は、一部メディアの描いた悪魔のような中国のイメージを吹き飛ばすものだった。

 

日本は長年にわたって、いわゆる「普通の国」となることを目指してきた。これは国際活動の参加に対する日本人の強烈で積極的な追求として表れてきた。中国への救援隊派遣が大きく注目されたのもそのためだ。イラクやインド洋における国際活動において日本は常にわき役に徹してきた。今回の救援活動では、日本が独自に決定し、独自に行動した。それによって得た栄誉や賞賛も日本だけに対するものだ。その国際的影響もイラク派遣などとは比べものにならない。

 

国際関係においては、永遠の友人はいないと言われるように、永遠の敵もまたいない。中日関係はまだいくつもの波をかいくぐることになるだろう。しかし今回の震災救援活動が両国民に歩み寄りのチャンスを与えたことは確かだ。

 

「人民網日本語版」2008年5月23日

 

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