People's China
現在位置: サイト特集四川・汶川大地震故郷の再建から生まれる希望日本の援助と協力

大地震1周年 宮本大使から中国国民へメッセージ

大地震1周年 宮本大使から中国国民へメッセージ

四川大地震から1周年にあたる12日、在中国日本国大使館の宮本雄二大使は、地震で犠牲になった人や被災した人たちに改めて哀悼の意と心からのお見舞いを表わし、「日本国民は、中国の友人たちと心を一つにし、被災地の復興が終わる最後の日まで、手を携えて共に歩んでいく」と中国国民にメッセージを送った。具体的な内容は次の通り。

「四川大地震が発生して一年を迎えました。まず、この地震により被災された方々に改めて哀悼の意と心からのお見舞いを申し上げます。

あっと言う間の一年でした。多くの尊い命が失われ、家族が共に暮らす多くの家屋が損なわれました。道路も寸断され、橋も壊れ、政府の建物も破壊されました。そのような中で中国政府と国民は、地震発生後の被災者の救助・救援、そして被災地の復旧・復興に懸命に取り組んできました。全ての方々の誠心誠意のご尽力、そして達成された大きな成功に対し衷心より敬意を表したいと思います。

日本と中国は新しい時代の新しい日中関係を作り上げ、その中味を充実させ、日中関係を新たな一段高いレベルに引き上げる努力を重ねています。この新しい関係を「戦略的互恵関係」と言います。四川大地震から一年間の日中交流は、このような大きな関係を支える国民レベルでの相互理解と相互信頼の増進に大きく貢献しました。この一年間を振り返って見ましょう。

日本は地震多発国であり、世界の地震の約2割が日本周辺で発生しています。日本では、これまでに何度も大地震が発生し、その苦しみを乗り越えることの辛さを十分経験してきました。それ故、日本の多くの国民が、テレビ等を通じて貴国で発生した四川地震の被害の大きさを知り、同じ人間として、また同じアジアの大切な隣人として、自分のこととして受け止め、出来る限りの支援を差し伸べたいと思いました。こうした気持ちは自然に湧き出てきたものです。震災発生後の支援・協力は、市民レベル、企業レベル、地方自治体レベル、政府レベルと様々な層で進められました。

地震発生直後、日本政府は、国際緊急援助隊の救援チーム、医療チームを被災地に派遣する等人的支援を行いました。また、被災直後に緊急に必要となったテントや毛布、発電機、浄化水槽、血液透析機、医療品等の緊急物資を送りました。緊急に大量のテントが必要になったことを知り、日本の各地方自治体も備蓄用のテントを提供してくれました。また、倒壊した家屋の下敷きになったけが人が多かったことから、手足切断を免れるように血液透析機を送ることになりましたが、一刻を争う中で、日本の生産メーカーや輸送会社が休日も朝から夜まで精力的に対応してくれて、無事透析機を輸送することができました。また多くの日本国民が、老若男女問わず、それぞれ街頭で行われている募金活動等に参加し、日本赤十字等の団体を通じて資金・物資支援に参加しました。

復興の段階に入ってからは、特に、これまで日本が積み上げてきた地震に関する知識を中国と共有し、中国の復興に役立ててもらいたいと考え、日本の技術や経験、ノウハウ等ソフト面を中心とした5分野(まちづくり、健康・福祉、社会・文化、産業・雇用、防災)からなる50項目の協力内容リストを作成しました。08年7月に日本政府ミッションを派遣して、このリストをもとに具体的な協力内容につき中国政府関係者と意見交換を行い、中国側のニーズを踏まえた上で、同月の北海道洞爺湖サミットにおける日中首脳会談において、胡錦濤国家主席と福田総理(当時)との間で協力内容が確認されました。被災から1年たった今日、50項目のほとんどが既に実施され、また現在もなお多くの日本人が現場で中国の方々と手を携えて共に汗を流しながら復興に取り組んでいます。

こうした災害復興・予防に関するプロジェクトには、官民多岐にわたる幅広い内容が含まれています。例えば、政府間では、中国の復興計画に際する日本の政策紹介、被災地3省に対する草の根無償資金協力による学校・上水道・医療施設整備15案件や救急車の寄贈、また、中堅幹部交流として被災地代表が3回(08年7月、12月、09年1月)にわたり計約200名が訪日し、日本の復興の取組を視察しました。こうした知見が、現在、被災地での復興活動に大いに活用されていると伺い、大変嬉しく思います。また、専門家の間では、耐震建築、林業復興、被災児童の心のケア等の交流やシンポジウム等が実施され、知見の共有が図られています。その他、日本企業、地方自治体、一般国民がそれぞれ自分の知恵を活かし、中国の皆さんと幅広い被災協力を行っています。この様な取組が一刻も早く被災地の復興に繋がることを強く願っていますし、また今後震災が発生した時に被害を極力小さく留める為の対策に繋がって欲しいと思います。

この1年間、日中の友情の輪はさらに拡がりました。多くの日本人が、被災地の皆さんが深い悲しみと辛く厳しい毎日を送られてきたとか、復興の過程がどれほど険しく長い道のりであるかということを、日本での自分達の経験から深く理解し、心からの支援を行いたいと思いました。一つだけ決して忘れないで下さい。それは、皆さんには中国の仲間がいて、世界の友人がいることです。とりわけ一衣帯水の隣人として、また長い交流の歴史と多くの文化を共有している友人として、我々日本国民は、中国の友人たちと心を一つにし、被災地の復興が終わる最後の日まで、皆さんと手を携えて共に歩んでいくつもりです」

 

「チャイナネット」 2009年5月12日

 

同コラムの最新記事
四川被災地に小学校を寄贈する建築家迫慶一郎氏
大地震1周年 宮本大使から中国国民へメッセージ
日本の救援隊員「四川にまた行きたい」
日本人洋画家、北川地震博物館に作品贈呈
大地震1周年 宮本大使から中国国民へメッセージ