立体緑化でパビリオンを緑で包む
何晶=文
中国館屋上の2.7万平方メートルにも及ぶ「空中花園」、フランス館の館内をぐるりと囲む高さ20メートルの「緑の壁」、サウジアラビア館の屋上と地上の両方に植えられたナツメヤシ……。万博会場では、至る所で緑の植物と都市建築とがマッチするさまざまな景観を見ることができる。
上海植物園が開発
|
ルクセンブルク館の「立体花園」(新華社) |
この「緑の壁」は上海万博のために研究開発されたもので、その核心的な技術は栽培用の「培養土」にあるという。万博会場内の「垂直緑化プロジェクト」に最初からかかわってきた上海植物園の胡永紅園長によると、この培養土は、ふつうの園芸用のものとは大いに異なり、十数種類の物質から成り、「容易に収縮したり、固まったりせず、中の栄養分はゆっくりと溶け出し、病虫害予防のための配慮もなされている」とのこと。上海植物園は、この技術を目下、特許申請中であることも胡園長は話してくれた。
新開発の培養土を盛る容器も特別なもので、分解可能な自然材質で作られている。水やりなどの毎日の世話も必要ない。容器には地中の湿度を感知するセンサーが装着されており、一定の乾燥度になると、それを感知して作動し、点滴灌水の電子バルブに伝えて、自動で水やりが行われるようになっている。このグリーンウォールには昨年6月に苗木が植え込まれたが、一年余が過ぎたいま、木々の生長は極めて順調で、維持コストもほとんどかかっていないという。
始まった実用化
グリーンウォールの普及と応用には大いに将来性がある。そのコストが高くなければ、垂直緑化に多くの人々が関心を示すに違いない。胡園長の話によると、外国では1平方メートルに1万元以上の費用がかかるが、テーマ館のグリーンウォールのコストは一平方メートルあたりおよそ800元から千元。より広い面積を立体緑化するなら、1平方メートルあたりのコストはその半分まで下がる可能性もある。グリーンウォールは、強い日差しをさえぎり、ちりやほこりもシャットアウトしてくれ、騒音を吸収し、空気を浄化するなど、さまざまな効用があるが、現代都市という鉄筋コンクリートの無機質な空間の中で、自然の緑を目にするなら、どんなにか心休まることだろう。
胡園長は最後に、もう実際に上海市内ではグリーンウォールの導入が始まっていることを明かして、次のように語ってくれた。「静安区ではこのプロジェクトを現在進行中です。旧市街の再開発が始まっていますが、工事現場を囲む塀にこのグリーンウォールが採用されました」
微生物で室内浄化
緑の植物を植える以外に、いま、微生物を用いた緑化が応用段階に入っていることをご存知だろうか。
ベストシティ・プラクティス区にある上海モデルケース連合館は「上海での暮らし・生態の家」がテーマだが、都市でのグリーンな生活(緑あふれる健康な生活)とはどのようなものなのかを探っている。パビリオン入り口の囲いの中には透明の管が何本も並んでいるが、中には緑色の液体が循環するように流れている。また、3階の展示ホールには緑の屏風が置かれているが、ここでも透明の管内を同じ緑色の液体が循環して流れている。
徐辰一解説員の紹介によると、この緑の液体は、肉眼では見えない微細な緑藻が水中に生息しているために緑に見えるのであって、実は、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する「グリーンパイプ」なのである。この微細な緑藻の二酸化炭素吸収効率は普通の植物の5倍から10倍も高い。このグリーンパイプの屏風をリビングに配置すれば、室内の空気の質が明らかに改善されるだけでなく、室内を緑化することもできる。屏風は管の底の部分で二酸化炭素を吸収し、口の部分から酸素を放出する。わずか2平方メートルの大きさの「微藻屏風」で約20平方メートルの室内の空気を清浄化することができるという。
人民中国インターネット版 2010年8月31日