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現在位置: 2010年 上海万博特集

「天上の聖地」チベット

 

チベット自治区が上海万博を通して全世界に開示しているのは、「新しいチベット」「新しい発展」「新しい生活」「新しい変化」である。それは、遠い世界のように思えるかもしれないが、万博会場のチベット館に足を運べば、あなたの目の前にそっくり姿を現す世界なのである。

「天上の聖地」を展示するチベット館

何晶=文

上海万博会場内の中国省・自治区・直轄市連合館はさながら中国の各一級行政区からの精華が雲集したかのような素晴らしさに満ちているが、さて、あなたにはどんな参観の心づもりがあるだろうか。入り口を入って左へ。B区に足を踏み入れると、前方に白一色の雪山が望める。そう、そこが今号でご紹介するチベット館なのである。

青海―チベット高原を行く

館の設計からしてチベット情緒が色濃く表れている。館の前に立つと、目に入るのは、チベット自治区の区都、ラサ市の雄大な景観である。真っ青な空、澄んだ水、緑の湿地、高い峰々に抱かれ、それは高原の色彩と民族の特色に彩られてすっきりと力強く、また生き生きとした出色の絵巻だ。絵の下のほうに二すじの白い帯が描き添えられているが、館員の説明では、細いほうの帯は純白のハダで、太いほうの帯は連なる雪山をシンボライズしたものとのこと。ハダとは、チベット族が祝賀や敬意のしるしとしている帯状の布で、絹や紗などで作られる。ハダと雪山が、ふたつながら照り映えて、チベットの各民族が上海万博に寄せる心からの祝賀の気持ちを象徴しているのである。

チベット自治区が上海万博を通して全世界に開示しているのは、今の「新しいチベット」「新しい発展」「新しい生活」「新しい変化」というテーマをめぐる三大展示である。

第一展示エリアは「幸福な天上の道」。壁面には雪山を遠景にした高原を走る列車が描かれているが、それは青海―チベット鉄道を行く列車で、右から左へ、八つの車窓が設けられていて、あなたは車中の人になってチベット高原の景観を楽しむことができる。車窓はどれも液晶ディスプレーで、青海省のゴルムド(格爾木)からラサまでの沿線の景観――緑輝く草原、群れをなして駆けたり、休んだりしているチルー(チベタンアンテロープ)、青く澄んだ湖、万年雪をいただく峰々などの美しい風光や通り過ぎる町々の様子などがくっきりと映し出される。実際に列車に乗っているような錯覚をおこすかもしれない。ぜひ素晴らしい高原の旅を満喫していただきたい。

チベット暦の正月を祝う人々

ラサ駅で列車を降りると、チベット遊覧の旅が始まる。

ホールの正面に掲げられているのは巨大な「ダシデレー図」。「ダシデレー」とはチベット語で「万事順調で、思い通りになりますよう」の意味のあいさつ言葉。チベットの伝統的な絵画芸術の風格で、チベット暦の正月を祝う各民族の楽しそうな様子が描かれている。ポタラ宮の背後には遠く雪をいただく山々。盛装した男女が酒器やごちそうが置かれた祝いの場で、情熱的なクオツァン舞を踊る情景。草原で手に手にたいまつを掲げ正月を迎える喜びを表す女性たち。チベットのすいとん料理「テントゥク」の鍋を囲み一家団らんする家庭。チベットの六弦の弦楽器「ダムニェン」を奏で、伝統のネバ舞を踊る人々。古くからの民謡を歌う老人……。正月のチベットの光景が細かく、また美しく再現されている。

チベット族の人々は、ハダを贈り、チベットの伝統劇を演じ、酒を勧める民謡を歌い、競馬に興じたりと、さまざまな伝統民俗で盛大にチベット暦の正月を祝うのである。壮麗な絵画の前に立つと、絵の中の熱気が見る者にも伝わってくる。

チベット館の第一展示エリアはチベット仏教色が濃い。ホールの一角にはデジタル技術を駆使した映像コーナーがあり、ラサ中心部に位置するジョカン(大昭寺)の正殿に鎮座する釈迦牟尼十二歳時の等身大像を見ることができる。像は宝石がちりばめられた金の宝冠をいただき、顔には金泥が塗られている。この像は、紀元七世紀に唐朝の{ぶんせいこうしゅ}文成公主が{とばん}吐蕃の王、ソンツェン・ガンポに嫁ぐ際、唐の都長安から携えて行ったものである。

第一展示エリアの出口近くには「追善供養」ができるというマニ車がしつらえられており、参観者はこの経筒を回すことで自分の幸せを祈る。

多方面での成果を最新映像で

第二展示エリアはミニシアターが中心だ。「テーマ映画館」と呼ばれるミニシアターでは参観者は快適ないすに座り、最新先端技術の粋を尽くした素晴らしい映像を鑑賞することになる。

「雪域」の高原、真っ青な空、真っ白な雪、連なる峰々、澄み切った水、鏡のような湖、草原を駆けるチルー……。「地球の第三の極」と呼ばれる独特の自然地理景観が次々と映し出される。また、青海―チベット鉄道、自動車道路橋、立ち並ぶチベット様式の新しい民家群、そしてチベット族の人々の楽しそうな生活……。人文地理の景観もあますところなく映し出され、観衆はチベット自治区のインフラ建設、エコロジー建設、文化建設、都市建設など多方面で勝ち取られた巨大な成果を見ることができる。ミニシアターの外にも巨大な液晶スクリーンが設けられていて、さまざまな生き生きとした画像が映される。五星紅旗がたなびく下で、チベット族のかわいらしい少女がにっこり笑っているシーンが、記者に深い印象を残した。

民族色と情緒があふれる民家

館内のいちばん奥が第三展示エリアの「幸福な住まい」である。ここでは実物の展示でチベット情緒あふれるラサ市内のチベット族民家を紹介する。二階建ての民家にはチベット様式のさまざまな装飾が凝らされ、小さな建物ながら、とても美しい。一階の応接間には伝統的なチベット式家具が据え付けられ、壁には絹織りのタンカと手織りのタペストリー。現代的な電気製品も置かれている。伝統と現代が見事にマッチしたこのラサ市内の民家は、なんと調和に満ちていることか。館員の紹介によれば、自治区内には、こうした民族色豊かな民家が至る所で建設され、使用に供されているとのこと。チベット自治区政府は、広範な農牧民の生活条件を改善するために、二〇〇六年一月から、「安居プロジェクト」を中心に、新しい農村づくりを進め、今年中には、自治区全体で百四十万人の農牧民が、こうした新しい家で「安居」する生活を送ることになるという。

チベット館では、どのデザインにも、またどのしつらえにも、チベットの民族色が存分に生かされている。特筆しなければならないのは、センサーによって館内の内壁や床に、舞い落ちる雪片や咲きこぼれる高山植物などの映像を映し出していることだ。参観者は、一歩チベット館に足を踏み入れるだけで、「雪域高原」の比類ない魅力のとりこになってしまうことだろう。

チベット館の田福利館長は記者に次のように語ってくれた。

「チベット族幹部をはじめ多くのチベット族の人々、それに沿海の各都市で学ぶチベット族の学生が来館しましたが、多くの皆さんが館の展示を気に入ってくれています。『故郷に戻ったようだ』『展示されている民家の応接間に座るとまるで自分の家にいるかのような気がしてきます』などと感激の面持ちで語る方も少なくありません」

 

人民中国インターネット版 2010年9月8日

 

 

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