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現在位置: 2010年 上海万博日本館より

上海万博の特徴

 

2010年上海万博日本国家館館長 江原規由

上海万博は、まだ2ヵ月会期を残していますが、その特徴を振り返ってみましょう。

都市万博 出展者、参観者とも万博史上、都市(中国語で城市)が初めてテーマとなりました。中国館の動く巨大な「清明上河図(宋代の絵巻)」はそのことを如実に物語っています。

和諧万博 和諧とは調和(Harmony)の意味があります。参加パビリオンの多くがこれをテーマにしています。

緑色万博 環境保護や省エネ関係の技術・機器を展示・実演し人類の自然との共生の意義を強調するパビリオンが少なくありません。緑色は環境や自然を連想させてくれます。世界に「緑」の意義を訴えている万博となっています。

技術万博 世界最大の3D映画館、バイオリンを弾くロボットなど、ハイテクに人気が集まっています。

低碳万博 二酸化炭素(CO2)排出量を少なくする試みが会場内外で実践されています。電気自動車・バスの運行はその一例です。緑色万博にも通じています。

色彩万博 会場内外の沿道の草木花々、万博軸や各パビリオンのイルミネーションが彩るカラフルな光景には多くの人が驚嘆しているのではないでしょうか。

人出万博 万博史上最多の来場者が期待できるでしょう。将来21世紀中にこれほど多くの参観者が集まる万博が開催されるでしょうか。

長蛇万博 多くの人気パビリオンが入館まで数時間行列しなければなりません。参観者のために日よけを作ったりモイスチャーミストを設置したりと、万博主催者側の気遣いが感じられます。

日傘万博 7、8月の暑さはとびきりでした。巨大な煙突温度計が40度を指す日もありました。帽子より日傘が日差し対策となり、たくさんの日傘の花が咲いているようでした。

你好万博 短期間に中国の人が世界の人とこれほど多く「你好(ニーハオ)」と声をかけ合ったのは初めてでしょう。中国のソフトパワーが大いに発揮されています。

美好世博 これほど「美しさ」と「好さ(奇麗さ、楽しさ)」にこだわった万博はないでしょう。子どもたちの笑顔がそのことを語っています。

数字万博 数字とはデジタルのことです。デジタルカメラで万博を撮りまくっている参観者、特に子どもたちが手に手にデジカメを持って楽しそうに撮っている姿が目立っています。

携帯万博 暑さ対策情報、待ち列時間情報など万博情報が頻繁に携帯電話で発信されています。重宝している参観者は少なくないでしょう。

両岸万博 黄浦江を跨いで浦西地区と浦東地区に万博会場ができました。地下鉄、バス、フェリーで両地を行き来する車両は冷房がよく効いており、ほっとする一瞬です。

団欒万博 ご家族での参観がたいへん多く家族団欒の雰囲気があちこちで感じられます。

参観には日傘は必需品

配慮万博

このほかにも、いろいろ形容できると思いますが、行き届いた配慮にはよく感心させられます。例えば、万博村です。これまで、万博関係者用の宿舎として、有料ではありますが、万博会場に隣接してこれほど立派な宿舎が建設された万博は、上海万博が初めてであったのではないでしょうか。

万博村からの関係者用通勤バスも大変便利です。朝早くから夜遅くまでほとんど待たされることはありません。お陰で快適通勤しています。

空港や万博入場口では、関係の人々が各種外国語で案内をしています。日本語で案内され驚いた参観者は少なくないでしょう。果たして彼らは何種類の言葉を操っているのでしょうか。中国の訪問者に対する心配りを感じます。

最後に、「配慮万博」を、上海万博の特徴として付け加えたいと思います。

 

人民中国インターネット版 2010年9月9日

 

 

 

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