美しく豊かな新疆を歌い上げる 新疆館
孫玲=文
「俺たちの新疆は良いところ、麦の穂が輝き稲の花が香る、風に揺れる草原には牛や羊たち、ブドウもハミウリもとびっきり甘く、地面の下には石炭や鉄・金銀がどっさり……」。ずっと広く愛唱された『新疆は良いところ』の歌詞同様、新疆館がテーマにするのは「新疆は良いところ」である。その良さを伝える展示は注目に値するものばかりだ。
十二ムカムの響き
新疆館は長方形をしており、外壁の上部には金色の曲線が描かれ、両側から中央に向けて入り口となっている。常務副館長の王克林氏によると、「正面から新疆館を見ると、ドッパ(花帽子)をかぶりベールで顔を覆った少女がちょうど顔をのぞかせたところのようです。側面から見ると、流れるタリム川のようであり、タクラマカン砂漠のようでもあり、各民族の波立つ知恵を表しています」ということだ。
歴史上の新疆は、中央アジアやヨーロッパに通じる交通の要衝だった。古代シルクロードでは、{ローラン}楼蘭やニヤ(尼雅)といった古い城郭都市の隆盛、ロプノール(羅布泊)人たちの繁栄が歴史に足跡を刻んでいる。各種の宗教の広がりと衰退、無数の国と民族の勃興と消滅がこの神秘的な土地で繰り返され、無数の古いとりで、のろし台、洞窟、宿場を残したのだった。数千年来、シルクロードはまた「玉の道」の継承者として、「商品の道」「文化」の道から今日の「石油の道」まで、役割を終えたわけではなく、逆にますます重要さを増しているのだ。
新疆館に入ると、非常に大きな羊の皮でできた地図が目に入る。地図の前に立てば、地図が古代シルクロードの三つのルートを示しているのが分かる。それは矢印に沿って延び、各城郭都市を過ぎ、次第に完全な新疆のシルクロードを描き出す。ここではまた、大きな胡楊(コトカケヤナギ)の写真が見られる。「生きては千年死なず、死んでは千年倒れず、倒れては千年朽ちることがない」と言われる胡楊精神は、新疆の人々が誇りとするところで、訪れる旅行客を深く引き付ける。
地図のそばに「十二ムカム(木卡姆)」を演奏する楽器が掲示されている。ムカムは大型の楽曲を意味し、歌と踊り、そして民俗的・古典的な音楽が一体となった総合芸術で、異なった人々、音楽、舞踊、文化の衝突と融合の歴史を色濃く残している。二〇〇五年十一月二十五日、「新疆のウイグル族の大曲(ムカム)芸術」として、ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」に登録されている。五百年来、十二ムカムの楽曲は柔軟さを持ち、街中や田園を問わず歌われ、絶えることなく歌い継がれて、民族のほとばしる情熱を伝えてきた。
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民族要素に満ちた新疆の舞踏。若者たちの愛を描いた『五彩鞋』の1シーン(cnsphoto) |
神聖な食品・新疆のナン
新疆館には、直径五十センチの陶器のナンが置かれている。注意深く見なければ、本物だと思ってしまいそうなほど精巧だ。ナンは、小麦粉を使って作られる、乾燥地帯での食事や保存に適した食品である。味がよく、さくさくと歯ごたえがよく、なかなか変質しないという特長がある。ほとんどどこへ行っても欠かすことができない食品となっている。新疆のムスリムの人たちにとって、ナンは一種神聖な食品であり、無駄にしたり浪費したりしてはいけない。正月やお祝いの席では、新疆の人々はナンで来客をもてなす。結婚式では新郎新婦が塩水に浸したナンを食べ、忠実な愛情と一生添い遂げる決心を示すのだ。
現代都市のスイートな生活
新疆館では、観客は五分間の映画を楽しみながら、新疆の文化や自然の風景、豊富な資源、調和のとれた社会について理解することができる。新疆十五の地区級州の歌舞団がそれぞれここで公演を行う。パビリオンの正面には、高さ五メートル強、幅七メートルの新型ガラス電子ウォールがあり、新疆の風景画が映し出されている。館内で歌舞のステージが行われるときは、この壁は透明になり、館外からでも素晴らしい公演を見ることができる。
都市の明日は人々のどのような夢を実現するだろうか。健康な生活、民族間の調和の発展は、すでに新疆の未来都市が追い求める夢になっている。新疆館では、来館者はかぐわしいフルーツを見て、新疆の現代都市のスイートな生活を感じることができる。現在では、新疆の園芸農業はすでにタリム川流域の産業ベルトとなっており、ハミウリ、ブドウ、ナツメ、クルミ、ナシ、アンズといった新疆のフルーツは、生産されそのまま鮮果として出荷されるだけでなく、ドライフルーツ、ジャム、栄養素など多様な形で市場に送られる。完全な果樹産業の流れができており、農牧民の生活は忙しく幸せなものになっている。
新疆館の出口付近には、「着せ替えマジックミラー」があり、来館者はこの鏡の前に立ち、自分の好きな民族衣装を選ぶことができる。顔と衣装を合わせてボタンを押せば、民族情緒に満ちた記念写真を撮影することができる。
人民中国インターネット版 2010年10月