三つの大河の源流地を館全体でオープンに表現 青海館
王新玲=文
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青海南部高原は、世に知られた長江、黄河、{らんそうこう}瀾滄江(メコン川上流)という三大河の源流の地であり、「三江源」と呼ばれる。青海チベット高原の奥地にあるため、標高は平均で四千五百メートル以上にもなり、「中華の給水塔」の異名を持つ。
中国省・自治区・直轄市連合館の来館者にとって、万博会場にあって大自然との親密な接触を求めるなら、青海館の参観はいい選択である。自然とエコロジーは青海館の大きな特色であり、ここではドーム形の天井には青い空に雲がただよい、壁面では雪山に鳥が飛んでいる。座っているのは「中華羊茅草」と呼ばれる青海チベット高原特有の牧草で、聞こえるのは水の音、見えるのは高原の家の生活なのだ……。
また、知的好奇心に満ち、ものごとの根源を求めるのが好きな人にも、見逃せないパビリオンだ。例え科学技術による手段と表現が行われていても、すべて核心は「中華の給水塔・三江源」にあるからだ。
大河の最初の一滴を守る
青海館の外壁は明るい緑と白という二色になっている。ほかのクローズドなパビリオンと違い、青海館は三分の二が大きく開放されている。館のスタッフによると、緑は河川の源の生命の息吹を表しており、白は高くそびえる崑崙山脈の雪峰を象徴し、開放的に設計されたという。意味しているのは、後発開発地区の青海には幅広い未来に向けた発展空間があり、また世界に向けて開かれた心を持っているということである。
館のエントランスには、天空を飛ぶオグロヅルの一群が描かれている。オグロヅルは青海省の省鳥であり、青海はオグロヅルの主要生息地、そして三江源は鳥類の楽園なのである。入館後に見られるレリーフは、高山の牧草地に暮らす牧畜民の日常生活を描いたものである。生活環境は厳しいが、彼らは粘り強く、楽天的で、物静かである。
出口に向かって進んだ場所には、長江の源があるグラタンドン(格拉丹東)雪山の一部が彫刻されている。大きな氷柱が雪山の前面にかかっていて、太古から枯渇することなく水滴がしたたり落ちている。全流域の繁栄はここから始まっているのである。水滴の落ちる音は超重低音で強調され、まるで人々に深く考えさせる啓示を発しているようだ。
青海館のテーマに関する陳述にはこんな一節が含まれている。「私たちの子孫のため、三江の最初の一滴を守らなければならない。それを最後の一滴、人類の涙にしてはいけない」
青海館の出口では、高山草原が待っている。このゆるやかな草原に腰を下ろし、観客はのんびりと映像を眺めることができ、歩き疲れた足を休めることもできるのである。
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三江源観光エリアのこうした景色も空港開港で身近になった(写真・胡友軍) |
はるかなる場所、美しい青海
さて、実際に青海に旅行に行くなら、三つの場所がお勧めだ。その一つは、ネット・ユーザーたちからも中国で最も美しい湖の一つに選ばれた青海湖である。青海湖は海のような果てしない広さと湖の静けさ、そして草原の美しさを併せ持っている。加えて、訪れる人が我を忘れるほど見渡す限り広がる菜の花の景色と、多くの人にとってここは心の聖地なのである。
省都西寧郊外にあるタール(塔爾)寺は、中国のチベット仏教ゲルク(格魯)派六大寺院の一つで、ゲルク派の開祖ツォンカパ大師生誕の地でもある。その宗教的地位はチベットのポタラ宮に次ぐとされる。寺の中にはチベット族の知恵と高い技術で作られた芸術品を見ることができる。タンカや{たいしゅう}堆繍の多くは仏教の物語を題材にしているが、堆繍の技芸はすでに伝承が途絶え、ここにあるものはまさに貴重な絶品なのである。また、宝石はチベット族の人々にとっては商業価値を求めるものではなく、気持ちの表現を託すべきもののようだ。彼らは大量の宝石を廟の建物や像、刺繍にはめ込んだり縫い込んだりしている。彼らはこれを借りて仏祖に対するあつい信仰心を表しているのだ。
三江源観光エリアの中核は長江、黄河、瀾滄江の源流があり、地震災害から復興中の玉樹チベット族自治州である。これまで玉樹は、バックパッカーにとっても、天のかなたにある遠い場所だった。しかし、昨年八月に玉樹{はとう}巴塘空港が開港して飛行機が就航し、自動車でしか行けないという歴史に終止符を打った。三江源は山、川、草原、雪山、湿原、動物の楽園がそろった、ありのままの自然景観が見られる場所だ。チベット仏教、唐蕃古道、玉樹歌舞、競馬節など、深く豊かな宗教文化と多彩な民俗情緒に満ちている。ここで味わうことができるのは、極めて典型的な青海らしい情趣と本質である。
人民中国インターネット版 2010年10月