People's China
現在位置: 2010年 上海万博日本館より

万博と国慶節

2010年上海万博日本国家館館長 江原規由

上海万博会場の4号門(ゲート)の近くの黄浦江沿いに草木作りの動物の形をした刈り込みがあります。その動物たちが植木職人によって化粧直しをされていました。夏の間に伸びきった頭髪や体毛にあたる部分の伸びた枝が切り込まれ、馬、羊、犬など十数頭はさっぱりしたようでした。

日本館は、4号門入場口から歩いて数分のところにありますが、連日、待ち列の人たちを強烈な日差しから守ってきたテントの屋根を色とりどりの造花で飾りつけをしている人を見つけました。

さらに、日本館前の世博大道沿いの花壇では、鉢植え花の交換に汗を流している人がいました。交換された多数の鉢植えの黄色の菊花を見ていると、「秋天来了」(秋到来)の実感がわいてきました。

悠久の歴史の中の上海万博

中国で、こうした季節の移り替わる風景を見ていると、国慶節が近づいているなあと、実感がわいてきます。全国各地でもいたるところで万博会場同様の化粧直しが行われているここと思われますが、万博史上最大規模の上海万博会場の国慶節の飾りが完成するのが楽しみです。

中国は伝統行事の多い国です。万博会場でも、例えば、今年六月の端午節には、湖南(紀元前三世紀の中国の楚、今の湖南省が発祥の地とされる)館を始め多くのパビリオンで、海外からの参観者を交えた粽作りコンテストなどの関連行事が行われました。

時折々の行事が多い中国で、人民が旧暦を大事に心を一にしてお祝いする行事をずっと変わらず続けている点に、悠久の歴史を感じさせられます。

ロマンと巡り合わせ

ところで、今年の国慶節は中秋節と重なることもあり、史上最「乱」(賑わい)になると予想するメディア(中国経済ネット9月20日)もあります。例えば、中国各地から上海万博の開催地へ出かける観光客は非常に多く、上海万博パック観光料金やホテル料金も値上げが目立つようです。

日本館待列テント上の国慶節飾付

いずれにしても、万博会場が賑わうことはよいことです。化粧直しをした動物、沿道の鉢植えもその甲斐があったということになります。また、上海万博会場で国慶節を中秋の名月を鑑賞しつつ祝えるというまたとない機会に、ロマンや巡り合わせの妙を感じる人は少なくないでしょう。

 

人民中国インターネット版

 

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