「中国元素」と「世界看中国、中国看世界」
二〇一〇年上海万博日本国家館館長 江原規由
10月16日、万博会場は103万人の参観者であふれました。開幕以来の累計参観者数は6462万余となり、いずれも、それまで1970年大阪万博のもっていた記録を一日で塗り替えました。また、24日10時17分には、参観者総数が7000万人超となり、開幕前に設定した目標値を超えました。中国人20人に一人が万博会場に足を運んだことになります。
語り継がれる万博
上海万博は、万博史上、歴史に残る万博となりました。最多の参観者があったというだけではなく、これ以上の規模を誇れる万博はもう二度と開催できないのではないか、という点でも万博史を{さんぜん}燦然と飾る万博であったと語り継がれるのではないでしょうか。
先日、万博会場で、あるスローガンを見て、ふと考えさせられました。それまで何度も見ていたのですが、万博ももうすぐ終わりだと思うと、それまで見過ごしていたものが、新鮮に見えてくるものです。
中国オリジナル
そのスローガンとは、「中国元素」と「世界看中国 中国看世界」(世界が中国を、中国が世界に目を向ける)の二つで、同時に至近距離に掲げられているのを見るのは、その時が初めてでした。
前者には「中国オリジナル」(CHINESE CULTURE)ほどの意味があると思われます。上海万博では、この中国元素、例えば、中国の多種多様な伝統、文化が万博会場から世界に発信されました。紅色の中国館の威容さに、パビリオンの入館を待つ人々の列に、また、会場を貫く黄浦江の悠久な流れの中にも中国元素を感じ取ることができました。
等身大の中国
元素とはものごとの基礎的要素(成分)の意味となりますが、上海万博での中国元素は、何といっても、中国人民一人ひとりということになるのではないでしょうか。万博開催の醍醐味のひとつは、世界が開催国のことをより理解し開催国が世界をより知るというところにあるといえるでしょう。七千万人以上の中国人民が万博会場を訪れ、会場内で凝縮された世界を百聞一見し、また、世界に等身大の中国が紹介されたわけです。
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至近距離に掲げられた2つのスローガン |
「中国看世界、世界看中国」が大いに実践されたということでしょう。(最終回)
人民中国インターネット版 2010年11月