万博開催都市上海のイメージ
2010年上海万博日本国家館館長 江原規由
浦島太郎のおとぎばなしを知っている方は少なくないでしょう。龍宮の海底生活から帰ってみるとかつての故郷がまったく様変わりしていたというお話です。筆者は1980年に上海を初訪問し、上海ホテルの屋上から町並みと黄土を吸った黄浦江の流れを見下ろし浦東のほうに目を向けた記憶があります。そのまま、今日にタイムスリップしたとしたら、浦島太郎と同じ心境になったでしょう。
セクシー度ナンバーワン都市
万博開催地の上海は、今、世界で最もエネルギッシュな都市です。上海を形容するニックネームは少なくありませんが、最近、中国で最もセクシーな都市に選定されました。
セクシーというと、何か艶めかしいイメージを受けますが、この調査を担当した調査会社(零点研究諮詢集団)によると、都市全体の雰囲気をセクシー度という言葉で現したとのことです。日本でよく使われる品格という言葉のイメージといってもよいでしょう。上海がナンバーワンとなった理由は、現代的な都市の雰囲気があり、経済発展と富を象徴しているからとなっています。因みに、第二位は香港(理由はスター、国際化)、第三位重慶(理由は美人)など。万博の開催地となったことで、上海のセクシー度はさらにアップすることでしょう。
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万博会場から浦東エリアを眺める |
温故知新
新華社『瞭望東方週刊』などが実施した「中国でどの都市が最も国際的イメージを有しているか」の調査でも上海はトップでした。国際イメージ、都市の総体イメージ、都市の先進性、観光先進性、都市信頼度、政府効率、都市の投資価値、都市の国際化水準で上海が最高点を獲得しています。
中国では、至る所で大規模な都市再開発が進められています。上海万博が「より良い都市、より良い生活」をテーマとしたのもこうした時代の流れを汲みとったからでしょう。
上海の街中で、ふと30年前を{ほうふつ}彷彿とさせる都市空間に出会いました。そこには、老上海(懐かしの上海)の空間が広がっています。そのはるか向こうに浦東の摩天楼が望まれます。その光景を見ていると、都市建設のおける「{おんこちしん}温故知新」を痛感します。伝統やこれまでの暮らしを残しつつ大都市へと脱皮する上海に期待したいものです。
人民中国インターネット版 2010年10月