たこ
文=楊振生
たこ、またの名を「紙鳶(とんび)」、中国では長い歴史を持ち春秋戦国時代には木を削って作った鵲(かささぎ)を放ったという記録がある。古代のたこの多くは戦争に用いられ、一種の有効な通信手段であった。たこが民間の遊ぶものとして最も早く現れるのは宋代画家の蘇漢臣の作品である。明、清の時代には人々は清明節になると外で凧を揚げている。北京の凧の代表は「大」の字の沙燕、またの名を京燕、扎燕と呼ばれるものであり、北京に伝わる「北の黒胡蝶、南の扎燕」はまさにそれである。
北京の「大」字の燕たこ |
たこは世界で最も古い空気よりも軽い飛行体である。本質的にはたこの飛行原理と現代の飛行機はとても似ており、ひもを引っ張る力によってそれ(たこ)と空気の間に生み出された力によって上昇する。いくつかの国の博物館には今でも中国のたこが展示されており、例えばアメリカの国立スミソニアン博物館の「世界で最も古い飛行体は中国のたこと火矢である」という説明札はとても人目を引く。英国の博物館でも中国のたこを「中国の第五大発明」と呼んでいる。史料の記録によると、中国のたこはおよそ14世紀にヨーロッパに伝わり、後の滑空飛行機(空中滑走:上昇気流や字面に対して一定の角度で降下することによって揚力を得て空を飛ぶこと)や飛行機の発明に大きな影響を与えた。
夏には天安門で空に放たれる大きな龍頭ムカデたこを眺めている子ども |
天安門前に揚がっている京劇隈取のたこ |
北京で伝統的なたこを買うには、新街口大帽胡同,琉璃廠,什刹海や王府井で見つけられる。価格は大きさや骨格の材質や生地によって異なり、安いものは10数元(1元=16円)から高いものは1000元、1万元のものもある。
たこを作っている北京の哈氏たこ第4代伝統工芸人・哈亦琦さん |
人民中国インターネット版 2013年9月20日