扇子
文=楊振生
扇子の起源は中国にあり、3000年以上の歴史を持つ。最も早いのは殷の時代に見られ、色とりどりのキジの毛で作られ、「障扇」と呼ばれるがゆえに「扇」には「羽」という字がある。当時の扇はただ帝王(皇帝)が視察に行く時に太陽、砂ほこり、風避けとして用いられただけであり、涼を取るものではなかった。前漢以降初めて涼を取るために使われ始めた。三国時代の諸葛孔明はガチョウの毛で作った扇をおもむろに扇ぎながら、妙案な戦法を次々と練り出した。
涼を取る道具として南方生まれのものだと思う人も多いが、北京の四合院や胡同(フートン 横丁)の涼しい木陰で蒲の扇(うちわ)を扇ぎながら都の上品さや下町の雰囲気を味わうのは何とも北京らしい光景だ。
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丸くて価格もお手ごろ、使ってみると風が強くて涼しく北京の人々に人気のビロウ(蒲葵)の扇子。通称ガマ扇子(うちわ) |
ガマ扇子を売っている北京の人々 |
北京の扇の主な骨組みは竹でできており、動物の骨やビャクダン(檀香)でできているものもある。こだわりのある扇の骨は名人によって彫刻され、山水(景色)や花びら、人物まである。扇の面にはきめ細かな桑皮紙や高麗紙が用いられ、絵柄は山水や花びら、伝統劇(京劇)の隈取や詩以外にも、白紙の扇に文人墨客(詩文や書画に親しむ風流人)に詩や絵を描いてもらうものもある。斉白石、張大千など書画の名家や伝統劇(戯曲)の名優はたびたび扇のに絵や詩を描き、いくらかの扇は貴重な文化財として保存され、書画のオークションに高値で売れている。
精緻で美しい北京の扇子
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「八大怪」と言われる清代の職人8人が描かれた扇子 |
観光客が扇子を見るなら琉璃廠東街、西街店で10元、20元で買える。扇子のコレクションが好きな人は潘家園で宝探しをしてみよう。
人民中国インターネット版 2013年9月24日