元宵節で正月気分は終わり
北京の前門大街(写真=劉世昭) |
2月17日は3日の春節(旧正月)から数えて15日目の元宵節でした。北京の前門大街は赤い提灯をぶら下げたアーチが4、50㍍おきに並び、赤いトンネルをくぐるようでした。この「灯会」は横浜、ニューヨークなど世界各地の中華街ではランタン祭りとして知られています。
さて、本場の北京・前門は数万人の人出でにぎわいました。親子連れ、カップルが過ぎ行く春節の名残を惜しむかのようにそぞろ歩いていました。「廟会」という縁日が昼間の祭典だとすれば、灯会は夜の祭典でしょう。春節に欠かせない花火と爆竹もこの日の午後12時でおしまいでした。提灯に火が点るころから、大晦日(2日)の真夜中に次ぐ大音響が北京市内にとどろき、大輪の花火が夜空を彩りました。
北京・前門は数万人の人出でにぎわいました(写真=劉世昭) |
ところで、「元宵」は前漢時代の武帝に仕えた側女の名前だと伝えられています。武帝に気に入られていたらしく、長い間里帰りができませんでした。ひとり嘆いていましたが、入れ知恵をしてくれたのが、おせっかいな大臣・東方朔でした。街中に火を点した提灯を付けさせ、武帝が家臣、宮女を引き連れて、提灯見物に出掛けるように仕向け、その隙に、元宵は里帰りするという「鬼の居ぬ間に洗濯」作戦です。元宵は父母と一家団らんを楽しんでめでたしめでたし、という次第です。
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元宵節の3日前の14日は中国で「情人節」と言われているバレンタインデーでした。日本では女性が恋焦がれている男性にこっそりチョコレートを贈るというのが、本来の意味と聞きましたが、中国の習慣は違います。男性が女性にバラの花を贈り、お返しに女性がチョコレートを贈るのが一般的なようです。日本では、3月14日がホワイトデーで男性側のお返しの日らしいですが、中国では聞きません。最近は5月14日にどちらの日にも縁のなかった男女が集まってうさばらしをするブラックデーというのもあるそうですが、こちらにはなさそうです。日本ではひところ勤務先の男性社員に義理で贈る「義理チョコ」というのがありましたが、これもないようです。ただ職場でもらっていないのは私だけかも知れませんが……。
中国のカップルはバレンタインデーに婚姻届を出すのが流行りのようです。地元紙によると、普段の日の8倍も届出があったようです。数の縁起をかついで8の付く日を好んだ時代もありましたが、中国も日本も若者には若者の嗜好があるようです。
写真=劉世昭 |
島影均 1946年北海道旭川市生まれ。 1971年、東京外国語大学卒業後、北海道新聞社に入社。 1989年から3年半、北京駐在記者。 2010年退社後、『人民中国』の日本人専門家として北京で勤務。 |
人民中国インターネット版 2011年2月18日