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ささやかに「国民交流」

 

今年は日本と中国が国交を回復してちょうど40年になります。孔子は大昔、「惑わず」と教訓を垂れましたが、人生100年時代の現代では「惑いの真っ最中」が40代でしょうね。日中関係も戸惑いが続いていますが、両国政府は今年を「国民交流友好年」と名付けて、さまざまなイベントを企画しています。国と国との関係の潤滑油が人と人との交流だということは今さら政府に言われなくても分かっていますが、北京では随分前から、ささやかな国民交流が行われています。

日中交流の場にもなっている「埼玉県人会」(2011年11月18日)

20数年前、筆者が北海道新聞特派員として北京に常駐していた時、「北海道人会」を結成しました。当時、日本人学校の校長が北海道中標津町出身の細見浩先生でしたので、初代会長を務めていただきました。北海道出身者だけでは人数が少なすぎましたので「北海道が好きな人」も入ってもらいました。その後、この「北海道人会」は途絶えたらしく、現在、100人以上の登録会員がいる「北海道人会」はその後新たに結成されたようです。

当時、北京には他にも県人会がありましたが、ほとんどが日本人だけの集まりでした。

ところが最近、筆者が加わっている「北海道人会」「埼玉県人会」にも中国人会員が増えています。主に留学、勤務などでその土地に住んだことがある人が参加していますが、地縁を求めて集まり、人と出合い、交流したいという動機は日本人も中国人も変わりありません。大多数は日本人ですが、中国人のみなさんは流暢な日本語を話し、臆せず仲間に入って、言葉の障壁は感じられません。

「埼玉県人会」には中国人女性と結婚した日本人や、日本人女性と結婚した中国人会員、その逆のケースの会員もいて、月に一度の会合は、いつも楽しい話題であっという間に時間が過ぎます。

ところで、北京には日中双方の人々が集う会が数えきれないほどあるようです。県人会、大学の同窓会、干支が同じ人の会や山登りなど趣味の会、血液型の会もあると聞きました。筆者は蒸留酒「白酒(パイチュウ)」を楽しむ会にも入っています。この会は10年を超える歴史があり、これまでに飲みほした白酒の産地、銘柄、度数などを克明に記録したファイルが毎回更新されています。

「北京俳句会」にも誘われ、月に1度の句会で五七五に苦心しています。時々、日本語が相当レベルの中国人も見学に来ますが「これは難しい」と、みなさん入会をためらっています。

現在、中国滞在が3カ月以上の日本人は、総務省統計局のデータ(2010年10月現在)によると、全体で約13万人、上海約5万人、香港約2万人、北京約1万人、広州約6000人だそうです。  仕事や勉強以外のサークルで中国人との交流の輪が広がり、意識するとしないにかかわらず、国家関係の基礎を作っていると思います。ここで取り上げたのは、日本語をしゃべる交流ですが、中国語で交流する会もたくさんあります。映画愛好会とか中国象棋の会などに参加している日本人もいるようです。

島影均

1946年北海道旭川市生まれ。

1971年、東京外国語大学卒業後、北海道新聞社に入社。

1989年から3年半、北京駐在記者。

2010年退社後、『人民中国』の日本人専門家として北京で勤務。

 

人民中国インターネット版 2012年7月12日

 

 

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