国慶節の過ごし方あれこれ
文=島影均
天安門広場の真ん中にしつらえられた巨大な花かごが久しぶりの青空に映えていました。広場の思い思いの場所で、一見して、お上りさんだと分かる団体が記念撮影をしていました。二十数年ぶりに国慶節(10月1日、新中国成立記念日)の長期休暇中に天安門広場に行って見ました。
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国慶節(10月1日)の国旗掲揚を撮ろうとスマホ、携帯、iパッドを構える若者たち(新華社) |
1日の国旗掲揚を見ようと思っていましたがあいにくの雨でしたので断念して、2日の昼前に人民大会堂前の入り口から中に入りました。空港の安全検査場並みの厳重な金属探知ゲート前には長い行列ができていました。
毎年、広場のデザインに趣向をこらしていますが。今年は立体的な花かごでした。高さ15㍍、直径15㍍で今回は3Dプリント技術を使って設計したのが特色だったそうです。しかも、例年、休暇が終わると撤去しますが、今年は11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)が北京郊外で開催されるため、会議が終わるまで展示するそうです。さらに、10月下旬には寒さに弱い花々を越冬向きの花に替えて賓客を迎えようという念の入れようでした。久しぶりに訪中する安倍首相もこれを見ることでしょう
国慶節当日の国旗掲揚がメーンイベントです。国旗掲揚は毎日、日の出に合わせて行われていますが、この日は特別でした。ニュースを見ると、いつもより多い88人の国旗護衛隊が整列行進し、きびきびした国旗掲揚の儀式をおこない、予想を上回る12万人の観客の目を楽しませたそうです。日の出は午前6時10分(北京時間)でしたが、午前3時から大勢の、主に若者が、列を作って開門を待っていたそうです。
今年の国慶節休暇は10月1日から7日まで土日を含めて7日間でした。法定の休暇は3日間だけですが、前後の9月28日(日)と10月11日(土)をそれぞれ振替出勤日にしてゴールデンウィークにしたわけです。
中国では春節(旧正月)と並ぶ大型連休ですが、春節は長年の伝統で都会に働きに出ている人々が故郷に帰る「大移動」が主な人の流れですが、国慶節の過ごし方には中国の目覚しい経済発展によって各世帯の可処分所得が増えている影響が如実に現れていいるようです。10月初旬、東京・銀座のデパートやブランド品店に中国人旅行者が買い物に訪れていたことをNHKが報じていたそうですが、読者の皆さんのところでも同じように中国人旅行者が目についたのではないでしょう。
地方から北京などの大都会へ、大都会の人びとは国内の景勝地や海外へというのが大雑把な傾向のようですが、北京・故宮も2日の入場者数が昨年比3万人減少したのを始め、浙江省・杭州西湖、四川省・九寨溝などおなじみの観光地も普段の週末並の入り込みだったと報じられていました。
北京では「こういう時はゆっくり休養するに限る」という友人が多数派でした。ゴールデンウィークを「黄金週」と言いますが、近年、同じ発音の「黄金粥」-つまりおかゆと同じように混み合う-と皮肉られていますが、北京市が10月1日は市内373カ所の公園を無料開放するなど、人の流れを分散化したことと、有給休暇制度が少しづつ定着しているなど政策的な配慮と、国民の休暇対策が上手になっていることが影響しているのでしょう。
人民中国インターネット版 2014年11月