さすが「広州の食」でした
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地元のお客さんばかりらしく、くつろいだ雰囲気の潮州料理店 |
広東省の深圳、東莞、広州3市を『人民中国』も傘下に入っている外文局取材団の一員として、回って来ました。広州と言えば、昔から「食は広州にあり」と言われていますが、本場の飲茶(ヤムチャ)をじっくりならぬ慌ただしさで味わいました。昼食時に老舗の店に行ったところ順番待ちでした。みなさん、ゆったり待っています。こちらは次の日程もあり、やきもきしていましたが、そんなことはお構いなし。やっと順番が来てテーブルに着きましたが、注文を聞くのも、料理が運ばれるのもゆっくり。地元の人に言わせると、そもそも飲茶はゆっくりお茶を飲みながら、人生を語り、商談もするゆとりの場で、時間を気にするようでは本来の楽しみ方ではないそうです。
広州で「おいしいと評判の店」という情報を頼りに、潮州料理の店「邁姨潮州餐庁」(広州市麓湖路)に行ってきました。潮州は広東省の東端で福建省と接していることから、潮州料理は福建料理に近く、広東料理ではないという人もいますが、小難しい議論は抜きに目当てはおいしい料理。
本通りから住宅街に入って、駐車場の一角で見つけた店は店内に10卓、店外に10卓ほどの見るからに庶民的な店でした。お客さんはご近所さんという雰囲気で、着いた時は満席でしたが、人の好さそうな店のお兄さんが、どこやらから折りたたみのテーブルを運んできて、われわれのために席を作ってくれました。
中華料理に詳しいフードコラムニストの勝又あや子さん(外文局『北京週報』勤務)が注文役。店の兄さんお薦めを聞きながら注文したのが、以下のメニューでした。
鹵水拼盤(豚バラ肉、タン、ミミガーの鹵水漬け盛り合わせ)蠔仔烙(カキ入りお好み焼き)椒塩九肚魚(テナガミズテングのフリッター)橄欖角螺湯(オリーブと巻貝のスープ)沙茶芥蘭牛肉(カラシナと牛肉のピーナツソース炒め)咸蝦(生エビの醤油ダレ漬け)花蟹粥(シマイシガニ入りのお粥)。
以下は勝又さんのレシピ解説です。「鹵水」というのは、広東料理、潮州料理の代表的な冷菜で、ブタやトリの骨でとったスープに生薬や醤油を加えて作った漬け込み用のタレで、具材をさっと煮てから冷まし、じっくり味をなじませたもの。「蠔仔烙」は代表的な潮州料理で、小ぶりのカキをふんだんに使い、サツマイモ粉で生地を作ったお好み焼きタイプ。
最初に運ばれたのが「お好み焼き」でした。これが何とも懐かしい味で、珠江ビールを飲みながらいただきました。北京では料理が概して脂っこく、味が濃いせいか度数の高い白酒と合いますが、広州で食べた料理はあっさりしていて、強い酒には合わないようです。隣の席で世間話に興じているおじさんたちが飲んでいたのもウイスキーでした。
広州は20数年ぶりでしたが、豊かさが定着している雰囲気で、広州市が開いてくれた歓迎宴はフランス料理とワインでしたが、ミディアムのビーフは美味でした。聞くところによると和食も本場と変わらない味だそうです。今も昔も「食は広州にあり」ですが「世界の食は広州にあり」と言い換えた方がいいのかも知れません。
人民中国インターネット版 2014年2月13日