まず呼吸を整え 腎に「気」を流入 腰痛
孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)
東洋医学では、腰痛は「腎陰虚(じんいんきょ)」によって起こる症状であると考えられています。成長や発育をつかさどる働きがある腎という臓器の血液が不足し、機能低下を起こしている症状を意味します。
まず、気功法の基本要素である姿勢を正し、心をリラックスさせ、呼吸を整え、腎に「気」を流入しやすい状態にしましょう。
① イスに座り、両手の親指と人差し指の間で逆手に腰を支え、両手の五本指で、腰筋の両側を力を入れたりゆるめたりしながら、つまみもみします(図A)。
② 両手の親指を左右の腰眼(ようがん)のツボに当てます。そして、親指で腰眼を押しながら、腰を左に十回ゆっくり回してください。このとき、親指に意識を集中させて、親指の下の筋がグルグル動くのを確認しながら回すのがコツです。終わったら、右に十回ゆっくり回します(図B)。
③ 左右に回し終わったら、今度は腰を触って、痛みの最も強い場所を探し、押しもみします。親指に意識を集中し、足元まで痛みが伝わるくらいの強さで「の」の字を書くようにもみほぐしてください。
④ てのひらの小指側を背柱の両側につけ、腰の筋肉を上下に押しこすります。その部分が熱っぽくなるまで続けます(図C)。
⑤ 両手の親指の先を、ひざの真後ろの中心点(委中穴)のツボにあてます。だんだん力を入れて、深いところまで指圧します。その部分に酸張感(痛くだるい、張るような感じ)が出るまで続けます。
日常、腰が疲れたなと思ったら、イスに腰を掛け、腰の部分を三十~五十回上下にさすってみたり、また姿勢を正して立ち、腰全体を軽くにがりこぶしでトントンとたたくという動作を行うと血行もよくなります。
慢性腰痛の場合は①~⑤を一日二回朝晩に毎日続けることをお勧めします。
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孫維良(ソン・イリョウ) 1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。 1987年来日。 現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。 |