下痢に効くツボ「天枢」
張北海=文・写真
日常生活での不適切な飲食や衛生管理の不徹底、また、天候の変化などは下痢を引き起こす要因として挙げられる。中国医学では、五臓六腑はそれぞれが密に関連していると考えられているため、ひとたび、その中の一つにでも問題が生じると、大腸の働きが低下し、下痢になることがある。1日に3回以上、非常に緩いゲル状のものや液体状の便が出ると下痢だと判断される。
中国医学では下痢を熱性下痢と寒性下痢とに分けている。熱性下痢は、ほとんどが不適切な飲食による急性のもので、常に腹痛、嘔吐、熱を伴う。一方、寒性下痢は慢性的なもので、胃腸が弱っているときや、消化機能が低下しているとき、腹部が冷えたとき、または生ものや冷たい物を食べたときに、腹部のかすかな痛みや膨満感を覚えたり、下痢をしたりする。
下痢をしたときに効く良いツボは、へその両脇の「天枢」と呼ばれるツボ。これは胃経(胃腸の働きを整える経絡)にある重要なツボで、それを押すと、脾(中国医学では飲食物の分解・排泄および水分代謝を司るものとされる)や胃を健康に保つことができる。また、腸の働きを改善し、気の乱れを調整するとともに滞りを解消し、消化を助ける効果がある。天枢ツボはへそから指3本分離れたところにあり、下痢のときには、指で押すと症状が改善されるだろう。
マッサージする際には、まず排便をしてから、仰向けになるか、椅子またはソファに座る。そして、ベルトを外し、お腹を出す。リラックスした状態で、右手の人差し指、中指、薬指をそろえ、膨張感が出るまで中指で左側の天枢ツボを押す。同様に、右側の天枢ツボも押す。徐々に力を入れ(耐えられる程度)ながら、5~6分間押した後、ゆっくりと指を持ち上げる。そのとき、指は離さずに時計回りにしばらくもむ。こうすると腹部がすっきりし、腹痛、下痢が解消される。ほとんどの場合、1回のマッサージだけで効果が表れる。急性の下痢は1日1回、慢性の下痢は1日おきに1回押せばよい。また、天枢ツボはダイエット効果もある。
普段でも、下痢の予防と治療には、腹部をもむという手軽な方法がある。両手の「労宮」ツボ(拳を握って中指の指先が当たるところ)が重なるようにへその上に当て、へそを中心に時計回りにもむ。女性は右手を下に、左手を上に置くが、反対に男性は右手を上に置く。こうすると、全身の気と血液の流れが良くなる。
人民中国インターネット版 2015年2月