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手に意識を集中 痛い所押しもみ 寝違え

 

孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)

朝起きてみると、首の片側に鈍い痛みを感じ、頭を左右に動かすことができないなどといった症状を俗に「寝違え」といいます。無理な姿勢で寝たり、枕の高さが不適切であったり、クーラーなどの冷たい風が急に当たったりしても痛み出すことがあります。

寝違えたとき、手で痛い所の筋肉を触ると、硬くなっているのがはっきり分かります。これを東洋医学では“気結”といい、気の流れが滞っているために痛み、気の流れを良くすることによって痛みが取れるといわれています。

では次の方法を行ってみましょう。まず気功法の三つの要素である姿勢、心、呼吸を調整し、手に意識を集中させましょう。

① 一方の手の親指の先で、別の手の手背にある落枕(ラオチェン)穴―人差し指と中指の間で、指の付け根と手首の中間点―を押します。だんだん強く押して、酸張感(痛くだるい感じ)が出てきたところで、ゆっくりと頭を回します。痛みが和らいだら、指を離します。

② 両手の中指の指面で風池穴(図)を一分前後押しもみします。その後、両手で首筋の両側をゆっくりもみほぐし、痛みのある側にはやや力をいれて、硬くなった筋肉が軟らかくなったらやめます。

③ 首をゆっくり回して、一定の角度まできたときに痛みが現れたら、頭はそのまま動かさず、中指の先で痛みの個所をおしもみします。痛みが軽くなったり感じなくなったらやめます。再び首を回して痛みのある場所を探し、同じように押しもみします。必ず意識を手に集中して行ってください。

④ 首を前後左右に動かします。両手の指を組み合わせ、その手のひらで首の両側の筋肉を挟み、上に向けて押し集めるような行動を数回行います。硬くなった筋肉は次第に軟らかくなってきます。できるだけ早めに適切な処置をとって治しましょう。

 

孫維良(ソン・イリョウ)

1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。

1987年来日。

現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。

 

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