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お皿を手で回す 血液循環に効果 ひざの痛み

 

孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)

中年以降の人に見られるひざの痛みの多くは、変形性膝(しつ)関節症によるものといわれます。この病気はひざの関節を構成する各組織が老化して硬くなり、炎症を起こし、関節が変形してくるというものです。最初は、ひざが重だるいと感じる程度ですが、徐々にひざが腫れて鈍痛に変わり、朝起きる時や、正座をして立ち上がる時などに、強い痛みを感じるようになります。どちらかというと、肥満体型の女性に多いのも一つの特徴で、さらに進行すると、ひざの関節に水がたまることもあります。

一度変形してしまった関節を元に戻すことはできません。しかし、日常生活での心掛け次第で、症状を軽くしたり、進行を防ぐことは可能です。つまり、肥満を解消する、正座や階段の上り下りをできるだけ減らす、おふろでひざをよく温める、無理のない範囲でひざの運動をして足の筋肉を強化する、などを心掛けなければなりません。

さて、まずイスに座り、気功法の基本要素となる姿勢、心、呼吸を調整してください。

手に意識を集中し、手のひらが温かくなってきたように感じたら、

① 両足の膝のお皿にそれぞれの手のひらを当て、ひざを包むようにします。

② 手のひらから、ひざに“気”を入れるようなつもりで、左右の手を内側から外側に向けて、次に外側から内側に向けて、各三十回ずつ回します。ひざのまわりが温かくなり、ひざのまわりの血液の循環がよくなってきます。

③ 終わったら、イスから立ち上がり、再び手のひらをひざのお皿に当て、ひざを右回り、左回りに各十回ずつ回します。

以上の方法を行うことによって、ひざの痛みが軽減し、楽になります。また疲労によるひざの痛みにも有効です。

一日二回、朝晩、習慣的に気長に行うことが大切です。

 

孫維良(ソン・イリョウ)

1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。

1987年来日。

現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。

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