歯をかみ合わせ つばを飲み込む 長生秘法
孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)
中国で古くから伝えられ、現在も大人から子供まで多くの人々が行っている民間の健康法をご紹介しましょう。
一、 歯常叩(チイヂャンコウ=歯をたたく)
民間のことわざに、「朝に歯を音を立てて三十六回かみあわせると、老人になっても歯が落ちることはない」があります。歯が健康であるか否かは、人体の健康に直接関係があります。歯を常にかみあわせることは、歯根と歯の周囲を固くし、歯の神経、血液と歯髄細胞を活発にします。
まず姿勢を示し、呼吸を整え、心をリラックスしてから始めましょう。
① 口は軽く閉じ、上下の歯を、きゅう歯を三十六回、次に前歯を三十六回、さらにこれを交互に三十六回、カチカチとかみ合わせます。
② 親指と人差し指で唇の上を押し、上歯茎のところを上下に約十回動かします。次に、下唇に移し同様の操作をします。手をよく洗い、親指と人差し指の指面を直接歯茎に付けて、前後方向にふるわせながら、横にこすったり、上下にこすったりします。この方法により、血液循環がよくなり、栄養状態を改善し、歯茎の抵抗力を増加させます。
二、 咽津法(イェンジンファ=つばを飲み込む)
津とは口中の唾(だ)液を指します。古人は唾液を称して「玉泉」「華池之水」「金津玉液」と言いました。唾液は健康にとって重要なものとみています。唾液には消化酵素と分泌性抗体が含まれ、胃粘膜の働きと殺菌作用を助ける役割があります。体が丈夫であれば唾液はたくさん分泌し、丈夫でなければ少ないといわれています。
ますつばを飲み込む前に口の中を清潔にし、唇を閉じ、歯を自然にかみ合わせます。舌の先で歯と唇の間を五~十回動かして、つばがいっぱいになったら、この唾液を三回にわけてゆっくりと飲み下します。この時意識をヘソの下の丹田に集中し、丹田まで届くよう、努力してください。
|
孫維良(ソン・イリョウ) 1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。 1987年来日。 現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。 |