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腹部筋肉を強め 消化吸収活発に 胃下垂

 

孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)

胃下垂は慢性的な病気で、内臓下垂の一つです。腹部の筋肉がゆるんで、腹圧を保つことができなくて、下垂をもたらします。

胃下垂の発生と体質とは密接な関係があります。病気で衰弱した人と産後の人は元気がなく、胃腸の“気”が回復せず、胃に不快感があったり、便秘、消化不良などいろいろな症状が現れます。このような体質が胃下垂をもたらすのです。

これからご紹介する方法により、腹部筋肉を強め、消化吸収の働きが活発になり、胃下垂の症状が改善されていくでしょう。姿勢を正し、呼吸を整え、心をリラックスしてから始めましょう。

① 床の上に座り、両手親指に意識を集中しながら、両足の三里のツボを押しもみします。そこに酸張感(痛だるく、張る感じ)が出てきたらやめます。この状態は、得気(気が届いたこと)を表します。時間にして、左右一分間前後です。

② 右手の中指の指面を“中脘(かん)穴”の上におき、呼吸にしたがってゆっくりと下に向け、押します(左手の中指で右の中指の上から、力を添えるのもよい)。息を吸う時に指を離し、吐く時に指に意識を集中して押すと気が届きやすくなります。約分間行い、その後、残りの四指の指面で周囲をおしもみします。局部に温熱感が出てきたらよいでしょう。

③ うつぶせに寝て、“脾兪(ひゆ)”“胃兪(いゆ)”の二つのツボを重点的に1~3分気を入れながら押します。この方法は一人では無理ですので他の人の力をかりましょう。

④ 仰向けに寝て、腹部筋肉の収縮のみで上体を起こし座ります。足は仰向けに寝たままの状態で動かないようにします。起こした後、上体を前に傾け、両手をできるだけ両足に近づけてそのままの姿勢を保ちます。その後、上体を起こし、だんだん後ろに傾けてゆっくり元の仰向けにかえります。この動作8~10回くらい、朝晩に行うと腹部の筋肉の増強につながります。

 

孫維良(ソン・イリョウ)

1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。

1987年来日。

現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。

 

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