反対側の親指で 圧痛点押しもむ デニスひじ(ゴルフひじ)
孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)
テニスひじ(ゴルフひじ)は、職業や疲労の度合いに密接な関係があります。たとえば大工さん、運動選手、家庭の主婦など、ひじをよく使う人たちにこの病気は発生します。
関節そのものには痛みがなく、外側に突き出している骨、あるいは内側に突き出している骨を押さえると激しく痛みます。
物を握っても力が入らず落としたり、重いものを持ち上げたりタオルを絞ったりするときなど、痛みが強くなります。痛みが強いときは、できるだけひじを休めるようにしてください。
では、気功法の基本である次の三要素――姿勢を正し、心をリラックスし、呼吸を整えて――を十分に行ってから、次の方法を行ってください。
① イスに浅く腰をかけ、痛いひじをリラックスして、わずかに曲げ、痛くない側の親指の指面で“臂臑(ひじゅ)”“曲池(きょくち)”“肘髎(ちゅうりょう)”“手の三里”穴を一分間、意識を集中しながら押します。その後、指面で、上腕外側とひじ関節外側の筋肉をおしもみします。
② 痛みのない側の手の親指で、ひじ関節外側の圧痛点を探し意識を集中して、指面でゆっくり力を入れながら押します。一分間くらい押したままにし、痛みが少しとれてから圧痛点の周囲をゆっくり押しもみします。
③ 痛い所に少し油質(紅花油など)を塗り、正常な側の手のひらを、痛いひじ関節の外側につけ、もみほぐします。痛い個所に温熱感が出ればよいでしょう。
このほか、日常的な心掛けとして、ひじをよくあたためて血行をよくすることが大切です。痛いからとひじを休ませるのはよいですが、逆にかばうばかりだと、結局運動不足に陥ります。無理な運動はもちろん避けなければなりませんが、できるだけ体を動かして、ひじをもみ、さするなどして血行をよくするようにしましょう。
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孫維良(ソン・イリョウ) 1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。 1987年来日。 現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。 |