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尾骨の長強穴をよく押してもむ 痔(便秘)

 

孫維良 (城西大学講師・中国医学会会員)

慢性の痔(じ)で悩んでいる人がかなり多くいます。肛門(こうもん)の括約(かつやく)筋には、血液がたまりやすいので、いつも座って仕事をしている人は特になりやすいといわれています。脱肛、貧血、痔ろうを誘発しやすいので、早めに治療し、予防を心掛けましょう。

次の方法は立っている時も、座っていても、どんな場所でも簡単にできます。

① まずリラックス、全身の力を抜いて楽にしてください。おしりと大腿(たい)部に力を入れて、キュッとせばめます。大便を我慢するときのように肛門をキュッと締めるわけです。しばらく息を止め、そのままの状態を保ちます。次に息を吐いて楽にします。この方法は、肛門の周囲の血行を良くし、括約筋の筋肉が回復しますので、便秘にも、腰痛の予防、治療に役立ちます。

② 頭のてっぺんにある“百会”、尾骨にある“長強”、その両側の“会陽”、さらに“腎兪(じんゆ)”穴に気を入れることによっても、痔が改善されます。尾骨にある長強穴は、入浴時に行うとさらに血行が良くなり、効果があります。会陽穴も一緒に、酸張感が出るまで、よく押しもみして下さい。

日常生活では、常に便通を整え、肛門部のうっ血を避けるように工夫するとともに、肛門部の清潔を保つことが大切です。食べ物も、辛いものや刺激の多いものはなるべく控えましょう。

次に、痔の原因となる便秘対策法です。姿勢、心、呼吸を調整し、気を出しやすい状態にしてから行いましょう。

ヘソの真裏あたりを、両手のこぶしで20~30回、おなかに振動が伝わるくらいの強さで、腰が温かくなるまでたたいて下さい。その時、意識は必ずたたいている部分に集中して下さい。一日1~2回、寝る前や朝に定期的に行うと、知らず知らずのうちに便通が整ってきます。

 

孫維良(ソン・イリョウ)

1954年中国・天津生まれ。元天津中医学院(現天津中医薬大学)第一附属医院推拿医師。

1987年来日。

現在、東京中医学研究所所長、臨床中医学推拿塾塾長。当研究所内での施術のほか臨床中医推拿塾にて治療家育成にも積極的に取り組む。

 

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