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春には肝臓の保養を

 

張北海=文

中国には「一年の計は春にあり」という言葉がある。春は一年で最も大切な時期であり、一年の健康維持は春の養生から始まる。人間は大自然の一員として体内の陰陽を自ら協調させ、自然の摂理に応じて養生すべきである。漢方の論理では、肝臓は草木と似ていて、草木は春に芽生えるが、肝臓もこの季節に活発に機能し始めると考えられている。そのため、春の養生は肝臓の保養に重点を置くべきだ。それでは、どのように保養したらよいのだろうか。

まずは、バランス良い飲食をすることだ。肝臓は五行の中で木に属し、木は芽生え・成長を意味する。すなわち陽の気は春に再び人体によみがえる。そこで、肝臓の保養と陽の気の促進につながる食べ物を多く摂取すると良い。春はもともと肝機能が活発になる季節で、酸性の食品を多く摂取すると、肝機能がさらに高まるため、のぼせたり怒りっぽくなったりしやすく、体に良くない。そのため、ヒツジの肉、ウズラ、海の魚、エビ、カニなどの酸性の食品を大量に摂るのを避け、ヤマイモ、タケノコ、ほうれん草、ナツメ、ニラなど性質が甘温(食べ物はすべて「五味」と「四気」に分類され、酸・苦・甘・辛・鹹の「五味」、熱・温・涼・寒・平の「五気」いずれかの性質を持つ)の脾臓に良い食べ物を大量に摂り、同時に十分に水分を補給し、酒を控えて、毒素で肝臓を損なわないようにしよう。

また、できるだけ気持ちを落ち着かせることも大切だ。感情の乱れは五臓の気のバランスをかき乱すからだ。肝臓は「驚き」の感情につながっており、驚くと気が乱れる。肝の気が滞りなく流れれば、気分が落ち着く。そのため、肝機能の高ぶりを避け、肝の気が正常に発生し、スムーズに流れるように、できるだけ気持ちを落ち着かせ、憂慮がない状態を維持すべきだ。

早寝早起きも大事なことである。ゆったりとした服を着て、散歩、ジョギング、体操、太極拳などの活動を適切に行い、新鮮な空気を吸い、体内の二酸化炭素を吐き出し、心身をリラックスさせ、体内の活力を維持しよう。

最後に、春になると肝機能が活発になり、のぼせたり、怒りっぽくなったりするが、足の甲の親指と人差し指の付け根の間に「太衝」というツボがあり、これをマッサージすると肝の気を落ち着かせ、鬱屈を解消することができる。

【メモ】

アルカリ性の食品、酸性の食品

われわれが日常摂取する食品はアルカリ性と酸性に分けることができ、それは味ではなく、人体で分解した後の代謝物の酸度によって区分する。栄養学的には、肉や魚、卵、米、小麦、油脂、糖類などはすべて酸性の食品で、野菜、果物、大豆加工品、牛乳などはアルカリ性の食品である。

 

北京軍区総病院の主任理療医師で、20数年にわたって高齢者医療保健活動に従事している。中国国学院大学客員教授、専門家委員、康寿養生専門家。

 1986年から人体の経絡(人体の気血・ツボの筋道)についての研究を始め、経絡による手診、面診、舌診、脈診、眼診、耳診などの漢方診断法、ツボ押し、民間食事療法の真髄を一体にし、短時間で人体の経絡を開き養生・治療効果を出す「張氏経絡管道快速開通法」を確立した。

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