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繋ぐ未来・中国・日本

 

松坂茉留

 私はこの世の中に失望しています。中国産のウナギには餌に大量の薬品や死体が含まれている、期限切れや床に落とした鶏肉を使用していた、まがい物の臭豆腐、PM2.5のような大気汚染、日本へ来た中国人が罪を犯す……キリがないほどありますね。あなたはこれらのニュースに衝撃を受けたり、失望したりしていますか?

 私がもし、そう聞かれたら、「いいえ。私は違います。」と答えるでしょう。では、私は一体何に失望しているのでしょうか。それは、そのようなニュースを日本人が見たり聞いたりし、中国へ悪いイメージをもってしまうということです。

 確かに、先ほどのニュースは事実かもしれません。日本国民の安全の為にも、警告する必要があります。ですが、そのようなニュースばかりで、中国人がどんなに良いことをしても、「ザ!世界仰天ニュース」で取り上げられる程度であり、中国への印象はほとんど変わりません。

 中国と日本は「永遠の隣人」です。「中国と日本」と聞くと、規模が大きく、自分にはあまり関係のないように思われますが、「隣人」と聞くと、自分の周りの人、身近な人などが想像できます。本来ならば、お互いに助け合うべきなのです。しかし、今、良い関係だとは言いきれないのが現状です。人間関係で例えるならば、「○○さんは××だから近づかないほどがいいよ。関わらない方がいいよ」「○○さんって△△さんと仲悪いからちょっと……」と、自分は実際何の被害も受けていないのに、誰かのうわさに踊らされ、自分も一緒になって嫌っているのと同じようなことをしているのでしょうか。

 ウナギを見るなり「これどこ産? うわ、中国かよ!」と言ったり、物を見るなり、「MADE IN CHINAか……粗末だ……すぐ壊れそうだ」と言ったり、中国人を日本で見かけるだけで、不思議なものを見る目で見たり。昨年までの私はこれらの人達と同類でした。しかし、今は違います。高校生になり、中国語を勉強しはじめてから、少しずつ気持ちに変化が表れました。まず、中国についてのニュースが流れていても、それはごく一部だ、と中国全体としてとらえることはなくなりました。また、中国語講座を動画でやっている人が「日本人はとても親切で日本も日本人も大好きです」とおっしゃっている方がいました。これを聞いた時、やるせないような、申し訳ないような、複雑な気持ちになりました。こんなに日本を想ってくれる方が身近にもいるのに、日本人は「中国人」というだけで、「投射」してしまっているのです。

 この現状をどうにかしなければ、近い将来、困難に直面しかねないと思います。今の私に出来ることは、友達の名前を中国語で何と読むかを教えたりすることです。そうすることにより、私は、友達に教えられるように沢山勉強しますし、教えられた人は、嬉しく、中国語に興味をもってくれるようになります。一人でも多く、中国人への嫌悪感がなくなるように、日々努力を惜しまず頑張りたいと思います。

 私が選んだ中国語コースは、毎年、修学旅行で中国に行っていましたが、日中関係があまりよくないことから、台湾になっています。私は中国の全部が全部、危険ではないと思うし、実際に交流をしてみて、好印象をもつこともあると思います。

 過去に、私はシンガポールからの留学生を2人、受け入れました。その時から、英語や中国語、異文化に興味をもつようになりました。そこで、今度は私が影響する側になりたいと思います。いつか中国へ行き、中国に行かなければわからない良さや、日本との違いなどをたくさん学び、それらの発見や経験を日本に帰ってから、多くの日本人に伝えたいと思います。また、交流に関わってくださった方の思い出に残るようになるだけでなく、自分と交流したいことで、相手に何か変化が表れたら幸いです。

 孟子の「性善説」と荀子の「性悪説」ならば、前者の「性善説」に私は賛成です。人は誰しも、欠点がありますが、必ず良いところも沢山あります。欠点ばかりを指摘せず、良いところを探せるような人になりたいと思います。その為に、普段から授業に集中し、習ったことを応用しながら、同じ中国語コースの人や先生と中国語で会話し、コミュニケーション能力を高めたいと思います。

 周りの人に「中国と言えば?」と聞くと、「料理がおいしい」「工業技術がすごい」「人口が多い」などが挙げられました。人口が多いからこそ大学の競走率が高く、みんな必死だと思います。商売もねぎったり、セットで買うとお得になったりと、日本ではあまりないようなことがあると知り、カルチャーショックを受けました。それは人口が多いからこその、発展だと思います。

 「MADE IN CHINA」から「MADE IN PRC」にして、売り上げを伸ばすなど、様々な可能性を私は信じています。日本は、輸出入に頼っていて、貿易国として、中国は欠かせないと思います。お互いに支え合い、日中関係も少しずつ良くなることを祈っています。

 

人民中国インターネット版 2015年1月

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