『餓童時代』
殳俏 著
寒い冬に食べた暖かい火鍋。プラスチックのおわんを持ち、立ったまま灰色のれんがの壁にもたれて食べた牛のモツ。名もない道端の屋台で食べた出来たてのあんかけ麺。昔ながらのパイ生地の濃いバターの香りが漂うクリームロール…。記憶の中の美食は、濃厚な伝奇的要素を備えた物語と共に、盛大な宴席を設けたかのように一気に振る舞われる。食欲が刺激されるだけでなく、子ども時代のカラフルな色彩と直接的な味わいをも思い起こさせるのだ。
(重慶大学出版社 2015年8月 42元)
人民中国インターネット版 2016年9月