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私たちが見た、聞いた被災地の現状

 

四川汶川大地震の発生直後、『人民中国』の上部機関である中国外文局は地震特別報道チームを編成し、本誌記者を含む約10人の記者が被災地へ向った。私たちはおよそ1週間にわたって成都市、都江堰市、綿竹市、北川県などの現場を取材。中国各地はもとより、国外からも救助の手が差し伸べられ、救援活動が繰り広げられる様子をつぶさに見た。そして現場の人々から生の声を聞いた。

 

科学的に進められる救援活動

 

5月13日、綿竹市漢旺鎮の蒸気タービン工場内で、一部が倒壊した建物の前に数百人を超える人々が集まっていた。瓦礫の中には生存者がいたが、人々はあせりとあきらめの表情を浮かべていた。

 

5月15日、国家地震局の救援隊は汶川県映秀鎮で生存者の捜索と救助作業にあたった


 

どうにも方法がなく思われたとき、救援隊員の盧傑さん(30歳)が瓦礫の中に入っていった。彼は生存者を1人発見したが、その足は、幾重にも重なったコンクリート板の下敷きになり、動かすことができない。どのコンクリート板を動かしても、さらなる倒壊を引き起こす可能性がある。生存者は自分の足を切断するよう申し出た。しかし盧さんは同意しなかった。

 

盧さんは、かなめとなるコンクリート板二枚をクレーンで吊り上げ、「人」字型にたてかけるよう冷静に指揮をとった。これにより、生存者を救出する空間が生まれ、瓦礫も安定して、崩れる心配が減った。6時間後、生存者は見事に救出された。その場に居合わせた人々は、盧さんの勇気と知恵に大きな拍手をおくった。

 

盧さんは、中国地震災害緊急救援隊の主力隊員である。地震発生後、186人の隊員とともに、生命探査機、液体プレス機、切断機などの救助用具を携え、12匹の捜査犬を連れて、8時間も経たないうちに北京から被災地へ駆けつけた。イラン、アルジェリア、アフガニスタンなどの国々の地震救援活動に参加したことがある彼らは、専門家として、非常に危険な現場で困難な問題を解決してきた。

 

「科学的な救援」は今回の救援活動全体の方針となった。生存者の救出が科学的な方法で行われただけでなく、遠隔探査によって地質や水文の変化を測量したり、衛星ネットワークを使用して負傷者の手当てを行ったりした。被災者の収容、地震の観測、二次災害の防止、生産活動の回復、インフラ設備の保障、災害後の再建なども、科学的な方法で進められている。

英紙『デイリー・テレグラフ』は、「中国の救援活動には秩序がある。中国人は危機管理能力の高さを示した」と評価した。

 

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