秋めく街で、思う上海生活
岡田紘幸=文・写真
だいぶ涼しくなってきた。秋をゆっくり味わいたい気持ちはあるが、上海の秋は短く日本の名古屋と比べると冬の訪れが早いと聞く。万博最終月はどんな気候になるのだろう。さて、夏の間は万博に訪れる日本人の取材が多く、自分を振り返ることはほぼなかった。ここで、今の私の生活や今まで紹介した一部の人の「現在」を紹介したい。
まず、私の語学の進展は、残念ながら当初の自らの期待とは程遠い状況となっている。日常会話の習得さえなかなか進まない。しかし、マイナスばかりではない。以前に日本語フリーペーパーの掲示板を通じて募集した相手との「相互学習」は継続中。仕事の合間、お互いの都合のよい時間に上海市内の喫茶店などで待ち合わせ、少しずつ勉強している。会話をしたり文章を見せてもらい意見を言うという具合だ。相手である中国の社会人はとても熱心で、日本人でも困る敬語の使い分けなど、レベルの高い日本語を勉強している。その勤勉な姿に私も刺激を受けているところだ。
出会った人、それぞれの今
次に、以前に紹介した「上海科技館」近くのフードコートでライスサンドなどを販売していた青代さんたちは、中国の複雑な事情も重なり相当の苦労を強いられたようだ。万博期間に合わせて、愛知から出店のため上海に乗り込んだ20代の女性たちの「現在」は……会場から撤退し、メンバーはそれぞれの道を上海で歩んでいる。万博とのつながりがなくなっても、今後の個々の活躍に期待したいと思う。
これも以前紹介した海宝をモチーフにした折り紙に関する最新情報。ついに10月、万博会場内で折り紙の実演を行うことが決定。仕掛け人は、折り紙作家の油井康二さんだ。彼の脳活性化の要素を込めた新感覚の折り紙「ORIPIT(オリピット)」では、これまでにパンダやトラ、紙鳴りクラッカーなどユニークな作品を数多く発表してきた。今回は「国際機構連合館」内にあるWWF(世界自然保護基金)パビリオンの協力を得て、折り紙ブースが実現する。私も会場で何日か手伝うことになった、とても楽しみだ。
最後に、まったくの私事だが初めて海外で誕生日を迎えた。上海にいる自分を、不思議に思うことがある。万博終盤を迎えるにあたって、数カ月の上海生活で、中国の文化や習慣を初めて肌で感じ、自分の価値観が少しずつ変わってきたことを感じる。我が人生にとって、大きな意味があったはずだ。この経験や縁を絶対に無駄にしたくない。今の思いを一言で。(仕事や金銭面などの事情が許すならば)これからも中国にいたい!(つづく)
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人民中国インターネット版 2010年10月