People's China
現在位置: 2010年 上海万博上海 ティータイム

上海万博の中の中国茶

 

文=ゆうこ イラスト=amei 監修=徐光

上海万博の閉幕が近づくとともに、私の上海の旅も一段落。中国茶の世界に足を踏み入れてからというもの、中国茶にどれだけ心引かれたことでしょう。上海でも店員さんにいろいろと教えてもらうたびに、お茶が一段とおいしく感じられました。そこで、今回は旅の締めくくりに、今まで登場した中国茶を振り返りながら、上海万博会場内で中国茶を探しました。

中国茶を探すとなれば、まずは中国省・自治区・直轄市連合館ですね。ここには多くのお茶と茶文化が展示されています。福建館には鉄観音と大紅袍、雲南館にはプーアル(普洱)茶、浙江館では高級な緑茶を味わえるだけでなく、記念品として小さな茶杯がもらえます。また、江蘇館には紫砂壺、江西省館には磁器の茶具が展示されていて、それはそれは素晴らしいものでした。

宝鋼大舞台(イベントウィークを行う場所でもあり、伝統文化を展示するエリア)にも足を運んでみた。「茶坊」と名付けられた展示スペースでは、10項目の「中国らしい」実演イベントが毎日行われていて、中国の伝統的な技をお客さんたち自身が体感できるようになっていますが、お茶の製造過程も見ることができます。熟練した職人さんたちの手によって、炒り茶などの工程を経た茶葉は、柔らかい茶葉から私たちがよく知っている乾燥した茶葉へと姿を変えていきます。「茶坊」にはかぐわしいお茶の香りがいっぱいに広がって、とてもさわやか。こうして作られたお茶を、茶芸師さんが美しい茶器で淹れてくれます。でもここは、上質なお茶と茶芸師さんによるすばらしい「茶芸サービス」を味わえるだけではないんです。各地の製茶達人やお茶に関する無形文化財の伝承者、著名な学者、各民族独自の茶芸を披露してくれる人たちが、製茶の過程を教えてくれたり、品茶のコツやそれにまつわるエピソードなどを話してくれます。このお茶をテーマにしたイベントは、184日間の全会期中行われ、毎週違ったお茶を楽しむことができるようになっています。

もう一つ、中国茶の集まる意外な場所が国連館です。館内では100平方メートルのスペースを使って中国茶が展示され、50平方メートルのスペースでは茶芸が披露されています。ここでは、国連館や上海市茶葉学会などが上海万博を記念して選んだ「上海万博十大名茶」を見ることもできます。以前皆さんにご紹介した、安渓鉄観音や武夷大紅袍も入っていましたよ。

実は、中国茶と万博とのつながりには長い歴史があるのです。1915年、パナマ運河の開通を記念してアメリカのサンフランシスコで「パナマ太平洋万国博覧会」が開かれました。この博覧会に出品されたのが、特に豪華な包装もなく宣伝もされていなかったけれど、とても美しいエメラルドグリーンの色を持つ中国茶でした。お湯を注いだ後のさわやかでかぐわしい香り、口に含んだ後のほのかに残る甘味、貴州省南部から来たこの緑茶は「パナマ万国博覧会最優秀賞」という栄冠を手にすることになったのでした。この他にも21種類の中国茶が賞を獲得したそうです。

人々は初め、お茶を薬と見なしていました。時代が下るにつれ、お茶は日常的に飲まれるものとなり、やがては、人と人との交わりの中で思いを伝えるための潤滑油のような役割を果たすようになりました。同時に、絶えることのない人と人との交流が、お茶の発展を促してきたとも言えます。上海万博はまさにたくさんの人と人との交流の場であり、中国のお茶、そして世界のお茶が一堂に会する場です。人々は自分たちの「作品」である茶葉を持ち寄り、互いに交流します。そうすることで、品質も向上していくはずです。お茶で「より良い生活」を楽しむことができそうですね。

さて、最後になりましたが、お茶を楽しむ時に忘れてはいけないことがあります。みずみずしく柔らかな茶葉は摘み取られた後、いくつかの工程を経て、そのうまみをしばらくの間、自分の中に閉じ込めています。お湯を注ぐことで、そのうまみは解き放たれ、私たちはおいしいお茶を味わうことができるというわけです。お茶は、常にこの過程を経て、私たちを楽しませてくれているのです。お茶を飲むとき、皆さんは自然の、そしてお茶に宿る命の声に耳を傾けているでしょうか? お茶には命がある、ということを忘れずに、素晴らしいティータイムを楽しんでいただけたらと思います。

上海万博十大名茶
安渓鉄観音
西湖龍井
都均毛尖
潤思祁門紅茶(キーマン紅茶)
一笑堂六安瓜片
湖南黒茶
武夷大紅袍
張一元花茶
天目湖白茶
福鼎白茶

 

人民中国インターネット版 2010年11月

 

 

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