「人民元の国際化には3条件」——戴相龍 全国社会保障基金理事会理事長
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博鰲アジアフォーラムで発言する戴相龍理事長(新華社) |
「人民元の国際化の基準は高い。その実現には欠かせない条件が三つある。一つ目は兌換能力、二つ目は通貨の全機能の具備、三つ目は相対的に流通の比率が高いことだ。こうしたことから言って、人民元の国際化は5区切り(「五カ年規画」)で3~4回が経過して初めて実現するだろう」
戴相龍・中国人民銀行(中央銀行)前行長(総裁)、全国社会保障基金理事会理事長は4月、海南省で行われた博鰲アジアフォーラムで人民元の国際化についてこのように述べた。
また、戴氏は「国際通貨体制には不合理な点があり、人民元の国際化はあり得る」「米ドルの地位が取って代わられることはないが、米ドル、ユーロなどを主軸通貨とする国際通貨体制の多元化は進めなければならない。当面、アジアの共通通貨の形成条件がまだ整っていないため、人民元の機能を十分に発揮させなければならない」と、語った。
さらに、人民元の国際化に際して、重要な概念は国際化の程度だとして、完全な兌換能力の必要性を挙げた。つまり、人民元が建値、決済、貿易、貯蓄などの全機能を備えた国際通貨となることであり、人民元が国際通貨準備高のうち8~10%以上を占めることが必要だ、という認識を示した。
ついで、戴氏は「米ドルが国際通貨になった際、オフショア市場(外貨による預金、融資業務を行う国際金融市場)を経過して実現した。そうした意味で、オフショア市場を築くことは人民元の国際化にとっても意義が大きく、香港が最適のオフショア市場だ」と、指摘した。(『人民中国』2011年第6号より)
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