特集 「外商投資法」でチャンス拡大

2019-08-05 14:42:04

中国国際経済交流センター副理事長元商務部副部長 魏建国=文

 

この40年間、在中日系企業は中国の改革開放に伴い、大きな発展を遂げた。今年、全人代で採択された「外商投資法」は、日本の対中投資の新たなブームを巻き起こすだろう。

日系企業の関心に応える

日系企業の対中投資の特徴は「三多三少」という言葉でまとめることができる。一つ目は、現地政府との商談は多いが、中国企業との直接の商談は少ないこと。二つ目は、優遇政策に対する要求は多いが、行政サービスやビジネス環境に対する要求は少ないこと。三つ目は、中国の国営企業や大企業との協力は多いが、民間企業や中小企業との協力は少ないこと。そのため、政府とのやり取りが比較的多い日系企業は、政策の安定性と予測可能性に一貫して非常に関心を持っている。

現在、中国の内需市場の成長に伴って、日系企業の対中投資にも新たな変化が起きている。一つ目は、ハイエンド製造業などの分野の投資が明らかに増加していること。二つ目は、中国企業と協力した株式投資が急速に増加していること。三つ目は、投資の種類が、中国で投資し工場を建て、製品を海外に売る「投資―輸出」型から、中国市場で販売する「投資―現地消費」型に徐々に変わっていることだ。

これらの変化によって、日系企業は知的財産権の保護や投資利益の保障にさらに注目するようになった。「外商投資法」は彼らのこのような関心に応えている。

具体的に見てみよう。第一に、「外商投資法」はオープンで透明性があり、長期的に安定した法律の形で、外資の合法的な権益の保護を揺るぎないものとする。このことは多くの潜在的なリスクを取り除き、中国の投資環境の透明性と予測可能性を高めるだろう。

第二に、法案の第22条は強制的な技術移転の禁止を規定している。中国はこれまで企業に技術移転を強制したことはないが、今またこの約束を法律のレベルに引き上げたことにより、知的財産権保護を強化するという決意を外資企業に伝え、偏見を正し、懸念を取り除きたい(10)と望んでいる。

より多くのチャンスをもたらす

参入前内国民待遇とネガティブリスト管理制度が初めて法律に組み込まれたことは、「外商投資法」の大きな注目点だ。これは中国の外商投資管理体制に根本的な変化が起こり、ケースバイケースの審査批准から、限定された審査批准、届出制に転換したことを意味している。このような転換は法治化された環境と公平な競争の重要性をいっそう強調している。中国は法律を基準として、中国企業と外資系企業に対して一視同仁の態度で、平等に対応する。

日系企業には中国に近いという地理的優位性があるため、欧米企業に先んじてイニシアチブを取れるはずだ。例えば、日系企業に優位性のある医療衛生産業や金融サービス業は、これまでの制限や規定が緩和されるのに伴い、中国市場でより多くの発展のチャンスを得られる可能性がある。

日系企業が外部に与える印象は、一貫して比較的慎重というものだ。現在「外商投資法」が打ち出されたことにより、彼らの懸念は払拭されたはずで、さらに中国消費市場の魅力を考えれば、将来、日本の対中投資は新たなピークを迎える可能性があると私は思う。日本政府は目前にある中国の新たな高レベルの対外開放という好機をしっかり捉え、中日韓FTAの交渉を一段と推進し、さらにそれぞれの関税を下げ、両国間の経済貿易の往来推進のためにより良い条件をつくるべきだ。

 

人民中国インターネット版 201985

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