PART4 世界をつなぐ通信インフラ

2023-02-20 10:01:00

高原=文

中国はデジタル経済大国であり、デジタル貿易大国でもある。2016年にチリと初の二国間の電子商取引(EC)協力に関する了解覚書を締結して以来、中国はすでに17カ国と「デジタルシルクロード」協力の了解覚書に署名し、23カ国と「シルクロードEC」の二国間協力メカニズムを構築した。デジタル経済は、「一帯一路」沿線国・地域との協力の重要なファクターとなっている。 

中国におけるデジタル経済の実践は、国内経済の発展の核心的な原動力となるだけでなく、世界の新興市場にモデルケースを提供し、中国の経験をささげている。 

  

越境ECによるウインウイン 

広州白雲国際空港の輸出貨物ターミナルでは、家電製品や衣類、おもちゃなどの中国製品を中心とした荷物がまもなくパキスタンや南アフリカなどの「一帯一路」沿線国に向けて輸送されようとしている。一方、1000㌔以上離れた上海市の青浦総合保税区の倉庫には、中国国際輸入博覧会で展示された商品を含む大量の輸入品が整然と積み上げられている。中国の消費者が越境ECプラットフォームで注文すると、輸入品は同区の倉庫から直接発送される。越境ECプラットフォームを通じて、中国製品は迅速に輸出されるようになり、外国製品も中国市場によりアクセスしやすくなった。 

また、中国の越境ECプラットフォームの海外進出は、パートナー国におけるデジタル経済の急速な成長と現地の越境EC人材の育成にもつながっている。 

過去10年間、中国のテクノロジー企業と東南アジアのパートナー企業は、デジタル経済分野を開拓しつつ、さまざまな産業がゼロから成長する過程を目の当たりにしてきた。アリババ、アント・グループ、テンセントなどの中国企業は、投資や技術支援などを通じて、ASEAN(東南アジア諸国連合)におけるデジタル経済の成長を後押ししている。マレーシアのTouch'n Go eWallet、インドネシアのDANA、フィリピンのGCash、タイのTrue Money Walletなど、ASEANの重要なモバイル決済プラットフォームの多くには、中国のインターネット企業が関わっている。 

中国のECプラットフォームTospinoのアフリカでの成功は、この点をよく表している。2019年、Tospinoはガーナに進出し、高度にローカライズされた運営で西アフリカの越境ECの急速な発展を推進した。当初はガーナの首都アクラを中心に海外倉庫を建設し、その上で現地の物流チーム「TospinoEX」を構築し、さらには完全な越境ECチームを打ち立てた。Tospinoの現地経済との深い融合が市場で認められ、認知度が高まり、ガーナの人口の7割近くがTospinoMallを利用するようになり、ユーザーのロイヤリティーも他のECプラットフォームをはるかにしのいでいる。中国とアフリカの「一帯一路」共同建設にサービスを提供するTospinoにとって、ガーナ市場はその出発点にすぎず、今年中にケニア、ナイジェリア、コートジボワール、エチオピア、ウガンダのEC市場に進出する予定だ。 

  

デジタルデバイドを是正 

大規模な従来型インフラプロジェクトは、かつて「一帯一路」建設の重点だったが、現在ではデジタルインフラがますます「一帯一路」発展の重要なファクターとなっており、鍵となるインターネットインフラが次々と整備されている。 

アフリカでは、中興通訊(ZTE)が構築しているブロードバンド・ネットワークが、累計で4億人以上の人々にインターネット接続サービスを提供している。また、アフリカ初となるスタンドアローン方式の商用5Gネットワークが、ZTEと南アフリカのローカル事業者の協力によって整備された。 

東南アジアでは、アリババクラウドがインドネシア、フィリピン、タイに相次いでデータセンターを増設し、テンセントクラウドもタイのバンコクなどにデータセンターを増設した。また、ファーウェイクラウドがインドネシアに設立したデータセンターも昨年から稼働している。 

昨年5月12日、中国聯通(チャイナユニコム)の発案と参加によるSEA―H2X海底ケーブルの敷設がスタートし、運用開始は24年を予定している。完成のあかつきには中国の香港特別行政区と海南省、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポールなどが海底ケーブルで結ばれ、さらにベトナム、カンボジア、インドネシアまでの延長も可能となる。アジア地域のネットワーク帯域への需要を十分に満たし、アジアおよび世界のデジタル産業化と産業のデジタル化の発展を加速させることができる。 

国連貿易開発会議(UNCTAD)の「デジタル経済報告2021」は、先進国と発展途上国の間に大きなデジタルデバイドが存在し、この溝がデジタル経済における国際協力の分断と亀裂を拡大させると指摘した。「シルクロードEC」「デジタルシルクロード」協力やデジタル技術を軸とした「一帯一路」での新しいインフラプロジェクトの推進は、いずれもデジタルデバイドを解消し、より多くの国や地域、いっそう多くの人々がデジタル経済のメリットを享受できるようにするための中国による努力の証しだ。 

また、「サイバー空間における運命共同体」理念の提唱から、「グローバル・データセキュリティー・イニシアチブ」や「『一帯一路』デジタル経済国際協力イニシアチブ」などの国際協力、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)やデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)などの国際協力協定への前向きな姿勢に至るまで、中国は積極的に国際的なデジタルガバナンスのルール作りに参加し、自ら進んで「中国の知恵」を提供している。 


2018年8月、中国のモバイル決済技術がフィリピンに進出した。現在、フィリピンでは「GCash」がはやっている(vcg)

 

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