PART5 常に外資に魅力ある場所で

2023-03-13 10:28:00

王哲=文

外資の導入と利用にいっそう力を入れることは、今年の中国の経済活動の重点任務の一つだ。 

過去40年余り、中国が著しい発展の成果を上げられたのは、経済のグローバル化に積極的に溶け込んだからだ。現在はさらにレベルの高い対外開放をもって質の高い発展を促し、外商の投資により多くのチャンスを提供し、世界経済の回復に寄与するよう取り組んでいくべきだ。 


エアバス天津工場の最終組み立てラインで組み立てられた最初のエアバスA321(昨年11月9日、新華社)

  

外資導入における著しい成果 

商務部のデータによると、昨年111月の中国の実質外資利用額は1兆1560億9000万元で、前年比99%増だった。特筆すべきは、昨年の外資導入額が量的増加を実現しただけでなく、質的向上も実現した点だ。昨年のハイテク産業の実質外資利用額は前年比311%増で、うちハイテク製造業が同588%増、ハイテクサービス業が同235%増だった。 

世界的な景気後退リスクの上昇と保護主義が台頭する中で、このような成績は非常に大切で得がたいものだ。 

中国(海南)改革発展研究院の遅福林院長は次のように述べた。中国の外資導入の規模が引き続き安定成長を保っているのは、中国市場が世界各国の持続可能な発展にとって依然として重要なチャンスであることを示している。一連の対外開放政策は、外資が中国市場に期待を寄せる「好材料」となっている。例えば、中国は2010年に世界貿易機関(WTO)加盟後の関税削減に関する約束を履行してから、ここ数年の度重なる自主的な関税削減を経て、現在までに平均関税率をすでに75%まで引き下げている。これは他の発展途上国をはるかに下回り、先進諸国に近い数値だ。また、輸入博覧会やサービス貿易会、消費博覧会など一連の輸入を促進する場をつくり上げ、外資の中国進出に良好な環境を築き上げた。 

さらに注目すべきは、昨年から中国の外資参入規制がますます緩和されたことだ。昨年度、国と自由貿易試験区の「外商投資参入ネガティブリスト」はそれぞれ61%と10%、31項目と27項目に削減された。投資を奨励する分野がますます増え、昨年の「外商投資奨励産業目録」は20年のものと比べ奨励類に該当する項目が20%近く増えた。対外開放のプラットフォームが相次いで拡大され、29カ所の国家輸入貿易促進イノベーションモデル区と60カ所の越境EC総合試験区が新設され、貿易の自由度と利便性がさらに引き上げられつつある。 


大市場に投資を続ける外資 

いかにして中国経済の将来の発展にさらに溶け込んでいくのか?新たな発展のチャンスはどこにあるのか?いかにして投資分野と地域を選ぶのか?いかにして中国の「双循環」と自主革新戦略の中で自身を位置付けるのか?これらは中国市場で投資を行う際、多くの多国籍企業が考える重要な問題だ。 

中国国際貿易促進委員会はこのほど、中国における外資系企業と外国商工会議所160余りにアンケート調査を行った。その結果、対象となった外資系企業のうち、994%が今年の中国の景気の先行きに自信を持っていると答えた。また、中国への投資規模を維持または拡大すると答えた外資系企業は987%、中国の産業チェーンを維持すると答えたのは898%、他国の産業チェーンを中国に移転する計画があると答えたのは102%だった。アンケートに答えた外資系企業は総じて、中国経済が高い強靭性を持ち、市場潜在力と工業体系、インフラ、ビジネス環境などの面において総合的な競争優位性を持っていると見ている。 

多くの多国籍企業は実際の行動で自らの考え方を示している。世界最大の民間航空機メーカーであるエアバスは、すでに天津の「エアバス320シリーズ」組立ラインで「A321」機の組み立てを始めている。これは仏トゥールーズと独ハンブルクに続くエアバスの3番目となる単通路機の組立ラインであり、欧州以外で初となるエアバスの組立ラインでもある。また、蘇州工業パークに研究開発(R&D)拠点を設置し、成都に欧州以外で初となる航空機のリサイクルプロジェクトを展開している。そのほか、自動車メーカーの華晨汽車と独BMWの合弁会社華晨宝馬の大規模グレードアッププロジェクト(里達工場)が瀋陽で稼働し、パナソニックグループは冷凍設備の生産や販売などより多くの業務を中国に移転した。 

世界的に有名な家具ブランドイケアは近年、中国市場への投資で加速傾向を示しており、各大都市における新築ショッピングモールやオンラインにおける販売ルートの拡大がその例だ。「中国市場がイケアの小売り分野の中で世界トップ5の重要な地位を保っているのは、中国の消費者が素晴らしい生活に対しより多くより高い憧れを持っているからです」とイケア中国の饒思文副総裁は語る。 

セメント工業大手のホルシムグループの劉利嘉副総裁によると、同社は現在と今後も引き続き中国東部の沿海の省に投資を行い、先端技術の実用化を図っていく。中国東部沿海の省のイノベーションへのニーズが大きく、時間の節約と建設コストの削減につながるのが理由だ。 

また、新興EVメーカーである華人運通は中国への投資をさらに拡大し、青島市で世界レベルの研究開発技術センターを設立する計画だ。同社の丁磊董事長は次のように述べた。投資と経営の中で、中国が新たな原動力を育んで成長させるよう力を入れ、自身の発展で世界により多くのチャンスをつくり出すよう努力し続けていると強く感じた。中国市場にはまだ多くのチャンスが潜んでおり、全世界の企業が共に探り当てることを待っている。 

 

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