PART3 現代化産業体系の構築が鍵

2023-03-13 10:30:00

張利娟=文

中央経済活動会議では、今年の経済活動の配置において現代化産業体系の構築を加速することを打ち出した。これは党中央が産業レベルで社会主義現代化国家の全面的建設をするための布石であり、中国経済が将来の競争に打ち勝つ力を入れるポイントでもある。 


昨年の西安ハイテク開発区では、半導体製造やOLED材料、車載用バッテリーなどの分野に関わる40件の重要建造物の建設が完了し、生産開始した。これにより1000億元規模の生産能力が構築され、10万人以上の新規雇用が創出されると見込まれる。写真は同開発区にある作業現場で変速機の完成品を検査する作業員(新華社)

 

コア技術開発を万全化 

「現代化産業体系の構築を加速することは質の高い発展を実現するための最も肝心なルートです。現代化産業体系を構築してこそ国際的に強い競争力を持つことができ、規模もさらに拡大でき、効率と利益もさらに向上できます」。中国国際経済交流センターの張永軍副チーフエコノミストから見て、中国は40年余りの改革開放を経て農業、工業、科学技術、交通、金融、デジタル、エネルギーなどの分野において重要な産業を持つ大国になり、世界で唯一、国連の国際標準産業分類の全工業分類を有する国であり、比較的強い産業の総合的実力を備えている。だが、コア技術の海外依存度が依然として高いということは否定できない。「現在、国内の産業では多くのハイエンド設備やコア部品のニーズを満たすことができません。現代化産業体系を構築すれば、国内のニーズを満たすだけでなく、さらに一部の国際市場のニーズを満たすことができるのなら、中国の産業は国内外でも発展できます。それは中国の経済を強く支えけん引する役割を果たします」と張氏は語る。 

中国社会科学院経済研究所の原磊副所長は、中国にとって現代化産業体系の構築を加速することは中国式現代化を推進する物質面の支えであり、国内と国際の双循環を促進する必然的な選択肢でもあり、質の高い発展を実現する根本的なルートでもあり、重大リスクを防止解消する効果的な手段でもあると考える。 


従来型産業のモデルチェンジ 

データによると、従来型産業は中国の一定規模以上(主な業務による年間売上高が2000万元以上)の工業企業の付加価値の80%を占めている。従来型産業のモデルチェンジアップグレードは製造業の質の高い発展を促すことにつながると言える。 

18回党大会(2012年)以降、中国の従来型産業は不断にモデルチェンジアップグレードし、製造業のハイエンド化、スマート化、グリーン化の発展の動きはますます著しくなった。今回の会議では、従来型産業が国際分業における地位と競争力を向上させ、新エネルギー、人工知能(AI)、バイオ製造、グリーン低炭素などの新興技術の研究開発と応用促進を加速しなければならないと指摘した。 

「近年、中国の新エネルギー産業は勢いが強く、産業のモデルチェンジアップグレードと経済の下押し圧力の緩和をけん引する中核的な力になりました」。中国国際経済交流センターの王一鳴副理事長は、中国は戦略的新興産業の発展を引き続き重要な任務とし、戦略的新興産業の発展の潜在力とけん引力を発揮し続け、それを中国経済が持続的に安定して回復するための新たなエンジンにすべきだという考えを示した。「現代化産業体系の構築には発展環境を整えなければなりませんし、企業の活力と創造力を十分にかき立てることが必要です。企業は産業発展のミクロな主体と重要な担い手であるため、自信を向上させることで国営企業が大胆に実行し、民間企業が大胆に切り開くようにしなければいけません」 

中国共産党広東省党校の劉慧瓊教授はこう見る。製造業の質の高い発展を現代化産業体系構築の鍵となる部分として位置付け、製造大国の基盤を十全化し続けなければならない。科学技術イノベーションと産業体系の効果的なドッキングと融合は、科学技術が経済発展に貢献する重要なプロセスだ。 


デジタル経済の新たなチャンス 

デジタル経済は中国の経済成長を推し進める重要なエンジンの一つであり、ネット化、デジタル化、スマート化が進む中、経済活動の中核になった。会議では、中国はデジタル経済の発展に力を注ぎ、新たなチャンスをつかみ、新たな分野を切り開き、新たなコースで勝利を収めなければならないと指摘した。 

「現代産業体系は動的で常に前へ発展するものであり、産業体系の構造は現代化の発展の流れにふさわしいものでなければならない」。中国人民大学重陽金融研究院の賈晋京高級研究員は、中国のデジタル産業政策はけん引性があると考える。2020年4月に発表された「より完備された要素市場化配置体制メカニズムの構築に関する意見」では、データを生産要素として正式に独立して扱い、土地、労働力、資本、技術に継ぐ5番目の生産要素にするとした。産業のデジタル化とデジタルの産業化の発展に伴い、中国はデジタル産業のトップを走っている。 

自国の発展とともに、中国のデジタル経済は「海外進出」しなければならない。張氏によれば、一部の国はデジタル技術の開発能力やデジタル経済の発展環境が備わっていないので、中国はデジタル経済の「海外進出」を推進し、国際経済貿易協力の新たなチャンスをつかみ取るべきだと考える。 

「デジタル技術はさまざまな産業、分野に浸透融合していて、産業の発展モデルと競争環境を根本から再構築し変えています」。中国マクロ経済研究院産業所工業室の付保宗主任は次のように強調する。グローバル産業構造と配置の調整の過程で育つ新たなチャンスをつかみ取るため、中国はプラットフォーム企業の革新発展を推進し、産業のインターネット、インテリジェントコネクテッドカー(ICV)、オンライン診療などのデジタル産業を成長させ、新たな発展の原動力を引き出し育むべきだ。 

 

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