より良い未来を共に模索

2024-07-18 10:58:00

段非平 劉雪雲=文 

45年前、中米両国の指導者の卓越した戦略的視点や非凡な政治的勇気により、中米関係正常化が幕を開けた。長期にわたって隔絶されていた二つの大国は全面的な交流を始め、時代の発展のために生命力あふれる種子も埋めた。45年が過ぎた今、当時の種はすでに天にも届く大木に成長し、協力の実を結び、両国に幸福をもたらし、世界にも恩恵をもたらしている。 

習近平国家主席は今年の3月27日に、米国の商工業界と戦略学術界の代表と会見した際、「中米関係は過去には戻れないが、より良い未来を迎えることが可能だ」と述べた。新たな岐路に立たされている中米両国にとって、国交樹立の歴史を振り返り、そこから平和友好交流の知恵とパワーをくみ取り、中米関係を長期的に安定させ、共に明るい未来に向かうよう後押しすることは、歴史の選択であり、人々の願いであり、世界の期待である。 

正しい戦略的認識を確立 

「アメリカ合衆国は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」「いずれの側も、アジア太平洋地域においても又は世界の他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する」「中米関係の正常化は、中国及びアメリカの人民の利益に合致するのみならず、アジアと世界の平和に貢献するものだ」。1978年12月16日に発表した「中華人民共和国とアメリカ合衆国の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」は400字に満たないが、翌79年の中米国交樹立を宣言し、中米両国の持続的な平和と互恵ウインウインのためにしっかりとした基礎を固めた。 

国交樹立以降の45年間、中米両国は最大年間7600億近く(2022年)の貿易額と累計2600億余りの双方向の投資残高を記録し、284組の友好省州関係や友好都市関係を構築し、金融危機や気候変動の対応などの分野で協調協力を展開し、世界の平和、安定、繁栄を力強く促進してきた。 

しかし近年、米国側の一部の政治家が冷戦とゼロサムゲーム2)の思考を抱いているため、中米両国の相互依存の現実が無視され、対話意思疎通のチャンネルに支障をきたした。 

習主席は昨年11月15日に、バイデン大統領とサンフランシスコで会談を行い、新時代における中米両国の付き合い方を探った。習主席が打ち出した「5本の柱(正しい認識を共に確立する、意見の相違を共に効果的に管理コントロールする、互恵協力を共に推進する、大国としての責任を共同で担う、人的文化交流を共に促進する)」は、中米関係の「サンフランシスコビジョン」を支えており、その筆頭に掲げられているのは「正しい認識を共に確立する」ことだ。中米関係という「巨大な船」をいかにして針路を逸れず、失速せず、衝突を起こさないようにするのか。まず答えを出すべきなのは、中米両国はライバルなのか、それともパートナーなのかという問題だ。 

中米関係が最近困難に見舞われている根本的な原因は、米国側の一部の政治家が中国を最も主要な競争相手、最も重大な地政学的挑戦(3)と位置付け、中国に対する認識を著しくゆがめていることにある。シンガポールの有名な戦略学者であるキショールマブバニ氏が述べたように、中米関係を発展させる上で、短絡的な戦略的誤判は最大のタブーだ。中米両国は情報の非対称性を解消し、互いに正しい戦略的認識を確立する必要がある。 

正しい戦略的認識を確立してこそ、差異と相違に理性的に対処することができる。中米両国は接触当初から、付き合う相手国が政治体制や発展段階など多くの面において大きく異なることが分かっていた。しかし、これらの差異は両国が「氷」を砕き外交関係を樹立することを、双方が共通の利益に基づいて協力を深化させることを、さらに双方が世界の平和と繁栄のために共同で貢献することをも妨げはしなかった。45年を経て、中米両国の協力分野の広さや利益の解け合いの度合いは、かつてないレベルに達した。寛大な心で差異を認め、相互尊重の態度で差異を受け入れることは、歴史が半世紀にわたって困難を乗り越えながら前進してきた中米関係に与えた根本的な啓示である。 

正しい戦略的認識を確立することは、中米関係を発展させるためにしっかり留めなければならない「第一ボタン」である。習主席が強調したように、双方が共に相手国をパートナーと見なし、尊重し合い、平和的に共存し、協力ウインウインを図りさえすれば、中米関係は良くなっていくに違いない。ここ最近、両国間のハイレベル交流や民間交流が増えつつあり、両国関係は下げ止まり安定する前向きな勢いを保っている。「トゥキディデスのわな」(4)は必然ではない。これはこの概念の提唱者でハーバード大学ケネディ行政大学院初代学長のグレアムアリソン教授を含む多くの人々の共通認識だ。中米関係は過去には戻れないが、双方が共に努力し、互いに対する正しい認識を確立しさえすれば、必ずより良い未来を迎えることができる。 

互恵協力の余地を拡大 

風雨にさらされながら常に前に進むことは、中米両国の半世紀にわたる経済貿易協力の真実を映している。1972年、中米関係の「砕氷」を象徴する「上海コミュニケ」が起草されたとき、「貿易と交流」はまだ米国側にとって重要性が低い「周辺分野」と見なされていた。国交樹立以来、両国は経済グローバル化の歴史的チャンスをしっかりとつかみ、二国間の経済貿易協力を無から有へ、小から大へ、単一から多元へと推し進めてきた。現在、中米両国はすでに世界経済をけん引する2大「機関車」となり、両国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の3分の1を超え、両国の貿易総額は国交樹立から200倍以上に増え、世界全体の約5分の1を占めている。中国は今、米国の四つの州にとって最大の輸出先で、38の州にとってトップ3に入る輸出市場となっている。対中輸出だけで米国に100万人以上の雇用を生み出した。7万社余りの米国企業が中国で投資し事業を展開し、年間利益は500億を超えている。両国の友好往来は日増しに盛んになり、利益の融合は日に日に度合いが増し、経済貿易協力もかつての「周辺分野」から中米関係の「バラスト」(5)までに成長した。 

歴史が繰り返し証明しているように、中米それぞれの成功は互いにとってのチャンスだ。昨年、中国の経済成長率は世界の主要経済国の中で上位を占め、世界経済成長への寄与率は何年にわたって30%を超えている。中国市場はすでに米国の多国籍企業がグローバルイノベーションを推進する「肥沃な土地」となっている。最近、中国発展ハイレベルフォーラム2024年次総会や「投資中国(Invest in China)」に関するイベントなどが相次いで開催され、米アップル社のティムクック最高経営責任者(CEO)を含むフォーチュングローバル500社の経営幹部が中国に集まり、拠点の展開や提携の交渉、計画の発表に勤しんでいる。彼らは中国の質の高い発展のはつらつとした活力とハイレベルの対外開放がもらたす広大なビジネスチャンスをリアルで感じており、中国経済の発展の将来性に自信を深めている。「中国に根を下ろす」「中国での投資を拡大する」「中国への投資は未来への投資」が、彼らの共通の意見となっている。 

「現在の情勢下で、中米間の共通利益は減少するどころか、増加している」。これは習主席が中米関係に下した重要な判断だ。両国はいずれも新たな発展の任務に直面しており、中米協力の潜在力をさらに引き出し、協力可能な分野をさらに拡大することは、間違いなく両国経済の持続的成長を後押しするだろう。中国は今、改革を全面的に深化させる一連の重大な措置を計画実施しており、市場化法治化国際化された一流のビジネス環境を構築し続け、米国企業を含む各国の企業により広大な発展の空間を提供していく。 

中米関係はここ数年、少なからぬ紆余(うよ)曲折を経験している。貿易競争、産業競争、科学技術競争など米国が打ち出したさまざまな対中「競争戦略」は、両国企業に切実な痛みをもたらしただけでなく、数多くの家庭の生計福祉にも悪影響を与えていた。米国側が「デカップリング」(6)や「脱リスク」(7)を推進したことは、中米経済貿易関係に少なからぬ衝撃をもたらしただけでなく、世界の産業チェーンサプライチェーンの安定も破壊した。国際通貨基金(IMF)が発表した報告書は、中米の「デカップリング」によって世界はより貧しくなり、真の勝者は一人もいないと指摘した。中米両国はすでに「持ちつ持たれつ」の経済関係で、中米関係の本質はゼロサムゲームではなく、互恵ウインウインである。 

中国はさまざまな困難や試練を乗り越えて今日まで発展してきた。これまで「中国崩壊論」で崩壊することはなかったし、今も「中国ピーク論」(8)によって頭打ちになることはない。今年は中米国交樹立45周年に当たり、双方は歴史から知恵をくみ取り、それぞれの発展の中で互いにサポートし、互恵協力の空間を広げ、互いに歩み寄る力を結集すべきだ。 

両国民の心の絆を深める 

中米両国は海を隔てて地理的には遠いが、両国民の交流協力の歴史は長かった。過去を振り返ってみると、中米関係の発展は風雨を経たが、民間の友好交流は一度も中断されたことがなく、中米関係を促進するために独特の積極的な役割を果たしている。 

第2次世界大戦中、中米両国はファシズムに対抗するために共に戦い、米国の義勇軍「フライングタイガース(飛虎隊)」の美談は両国民の血と命で築き上げた深い友情を担っていた。50年以上前の「ピンポン外交」は今も語り継がれており、中米選手の心のこもった交流は、人民友好という前向きなメッセージを伝え、「小さなピンポン球が大きな地球を動かした」ことで、中米関係の新たな一ページを開いた。国交樹立後の45年間、両国民の交流協力はより頻繁かつ密接に行われ、文化、教育、科学技術、メディア、観光、医療保健など多くの分野をカバーしている。1979年に最初の友好都市関係を締結してから現在までに、中米間では284組の友好省州関係や友好都市関係が構築された。45年の間、両国の友好省州や友好都市は緊密に協力し、実り豊かな成果を収め、両国民に確かな利益をもたらした。歴史が証明しているように、中米両国民は制度、文化、言語の違いを乗り越え、深い友情を築くことが十分に可能だ。 

中米関係の発展が今日まで進んできたのは容易なことではなく、その成果を大切にしなければならない。ここ数年、習主席はさまざまな場で、民間友好と人的文化交流が両国関係の発展に重要な意義を持つことを強調し、中米関係の基礎は民間にあり、希望は人民にあり、未来は青年にあり、活力は地方にあると指摘した。北京での米国各界人士との会見、福建省福州市で開かれた「鼓嶺の縁」中米民間友好フォーラムなどのイベントへの祝賀メッセージ、またワシントン州の「米中青少年学生交流協会」や飛虎隊の元兵士などの友好人士への返信など、習主席と米国各界人士との真摯(しんし)な交流は、両国民の交流強化、理解増進、協力拡大に新たな原動力を注ぎ込んできた。 

中米関係が重要な岐路に立たされている現在、民間交流は両国関係の健全な発展に絶えずプラスのエネルギーを注ぎ込んでいる。米クーン財団のロバートローレンスクーン会長は、民間交流の強化は米中双方がチャンスと共通のニーズを積極的な協力に変える確かな方法だとの見方を示し、「両国関係が下げ止まり安定し、健全で安定した発展の軌道に戻るよう後押しするには、民間交流の強化に勝る処方箋はない」とした。全米芸術基金のカラジールリコフカナレス上級顧問も「ニューヨークタイムズ」紙に「米中関係の回復は互いに耳を傾けることから」と題する記事を発表し、米中関係という挑戦的で複雑な二国間関係において、音楽のような人的文化交流は相互理解の懸け橋を築くことができると指摘した。 

習主席は昨年11月の訪米期間中に、中米両国民、特に青少年の交流を拡大するため、中国側は今後5年間に米国の青少年5万人を交流と学習のため中国に招待するという意向を表明した。今年1月7日、同プロジェクトの第1陣の訪中団として、米コロンビア大学の青年代表団が四川省成都市に到着し、4日間の交流の旅を始めた。中国滞在中、団員たちは中国の人々と近距離で交流し、中国の発展変化を目の当たりにし、中国の歴史文化を肌で感じ、中国をよりはっきりと、全面的に理解することができた。ますます多くの両国の青年が互いに理解し親しくなり、手を携えて共に進むようになると、集まった数多くの小さな善意は大きな力になり、中米関係の今後の発展に生き生きとした活力を注ぎ、両国民の友情の木が青々と茂ることを後押しすることになるだろう。 

現在、中米関係は依然として多くの困難と試練に直面している。幸いなことに、民間友好の絆は今でも繋がっており、中米関係を発展させるプラスのエネルギーも集まり続けている。キッシンジャー元米国務長官(昨年11月29日死去)は昨年10月24日に行われた米中関係全国委員会の年次授賞晩餐会で、こう述べた。「私は人生の半分を米中関係のために働いてきました。米中関係の健全な発展を守り、促進している人は決して少なくなく、米中の交流協力を支持する人もいなくなったことはないと思います。米中各界の協力の下、両国関係の発展は両国民の共通の福祉に合致する方向に絶えず前進すると信じる理由が十分あります」 

中米関係の改善は世界への責任 

世界で大きな影響力を持つ大国と国連安全保障理事会常任理事国として、中米両国の関係は二国間関係を超えた世界的な意義を持っている。 

習主席が指摘したように、世界はいま、百年に一度の大変革の真っただ中にあり、中米両国には二つの選択肢がある。一つは団結と協力を強化し、手を取り合ってグローバルな挑戦に対応し、世界の安全保障と繁栄を促すこと。もう一つはゼロサム思考に固執して陣営の対立をあおり、世界を混乱と分断に向かわせることだ。二つの選択肢は二つの方向を表しており、人類の行く末と世界の未来がかかっている。 

現在、国際情勢の不安定性不確実性が増しており、中米両国が意思疎通と協力を強化し、人類の平和と発展を共に推進することがより一層必要となっている。歴史が証明しているように、中米の協力は多くの大事を成し遂げることができ、両国にも世界にも利益をもたらす。2001年9月11日に起きた米同時多発テロ事件以降、中米両国はテロ対策に関する協力を強化し、国際社会の平和と安全を力強く守った。世界金融危機が08年に勃発した際、中米両国は緊密な協力によって、世界経済を救った。14年に発生したエボラ出血熱流行に対応した際、中米両国も効果的な協力を行った。現在、世界的な問題と課題が続出しており、ポストコロナ時代に入った世界の回復のために、中米の協力は極めて重要だ。 

世界1位と2位の経済国として、米中両国の経済規模は世界の3分の1を超え、二国間貿易額は世界全体の約5分の1を占めており、中米関係の善し悪しは世界経済を左右すると言える。主要20カ国地域(G20)のメンバーとして、中米両国は協力を強化し、世界経済の回復を共に推進し、より包摂的かつ強靭(きょうじん)性のあるグローバル発展を手を携えて推進すべきだ。中米両国にとって、アジア太平洋地域は利益の融合が最も深く、交流が最も頻繁な地域であり、双方は協力の強化によって、「2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靱かつ平和なアジア太平洋共同体を構築する」という目標の実現を推進すべきだ。 

習主席は昨年11月15日に、米友好団体主催の合同歓迎レセプションで演説した際、「中国側が提起した『一帯一路』共同建設イニシアチブおよびグローバル発展イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブは、終始米国を含む各国の共同参加を歓迎し、中国側も米国が提起した多国間協力イニシアチブに参加する意向がある」と述べた。中米両国は世界により多くの公共財を提供し、これによって各国民の福祉を増進すべきだ。これは大国としての世界への責任でもある。 

先人の歴史的知恵は中米関係に貴重な財産をもたらし、サンフランシスコ首脳会談の共通認識は中米関係の未来に向けた新たなビジョンを切り開いた。中米双方が両国のウインウインと世界のウインウインを追求する心を終始持ちさえすれば、きっと「より良い未来」を迎えることができるだろう。 

人民中国インターネット版

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