時代ごとの新しい交流を
中国国際青年交流センター公益合作部科長 崔斌(談)
2012年に中国国際青年交流センターで働き出し、ほどなくして所属部署の上司から中日青年の友好交流事業を振り返る一冊の本を勧められた。その本の中には、1984年に実施された「日本青年3000人訪中」が掲載されていた。
初めてこの美談を知った私は全身に衝撃が走った。受け入れ能力がまだ低かったあの時代に、当時の中国側運営がきめ細かく行き届いた対応でこの大規模な交流活動を実施したことに感心した。何より大事なのが、訪中した日本青年の多くが今でも中日交流事業で活躍していることだ。
中国で植林・緑化ボランティア事業に取り組む日本の友好団体を接待した際、当時訪中団団員だった村岡さんに出会った。当時中華全国青年連合会主席だった胡錦濤氏との記念写真を肌身離さず持ち(9)、誇らしげに見せてくれた。当時のことは、いくら歳月が経ってもなおも胸が詰まるものらしい。別れる日に両国の青年たちが名残惜しさのあまり抱き合って泣いた人もいたという思い出話を聞いて、誠実な交流活動は青年の成長と友好の継続に計り知れない影響を深く長く与えられるのだと実感した。
学生時代も社会人になってからも、同世代の日本人との交流はとても実りのあるものだった。大学2年生の時に初めて参加した中日交流活動は、今でも記憶に残っている。交流の一環としてそれぞれの夢を絵にしたとき、岡山県出身の青年は海を描き、海のように広い心を持つ人間になりたいと話した。彼の夢は、功利主義ではなく精神的な豊かさを重視するという日本の同世代の一面を見せてくれた。
40年前でも、10年以上前の私の学生時代と比べても、今の中日青年交流はより多くのチャンネルを持っている。大学、企業、地方政府、民間団体が次々と参入し、交流内容もますます深く、実務的で専門化されている。
そのため、私たちは交流活動を企画する際、最新の時事ネタを追い、起業・就職、気候変動、少子高齢化など今の若者が興味を持つ討論テーマを設けている。このほか、青年グループの特徴に応じて、大学生を対象に就職をテーマとするオンライン交流会を実施したり、青年企業家を対象に中日韓青年イノベーション起業フォーラムを開催したりして、より焦点を絞った交流イベントの企画を進めている。
私が今担当している「中日青年対話会(日本・中国青年親善交流事業)」を例に取ると、この交流イベントは1978年の中日平和友好条約締結を記念して創設されたもので、79年から46年間続いている。時代の変遷とともにイベントの形と内容も変わり、ただの対話と相互訪問から、特定のテーマを巡る踏み込んだ議論へと発展している。
現在の中日関係にはままならない点がいくつかあるが、40年前に3000人余りの日本青年が中国を訪問して両国の民衆の心に友好の種をまいたように、将来より多くの日本の若者が中国を訪れて友情と成長を得ることを切に願っている。 (王朝陽=聞き手・構成)