応用利く衛星測位システム
王朝陽=文
古来「北斗七星」は夜空を照らし、人々を導く星だった。そして今、「北斗」と名付けられた中国独自開発の衛星測位システム(以下「北斗システム」)が「夜空」から人々のそばに来た。国連公認の世界4大衛星測位システムの一角を成す北斗システムは、現在230以上の国と地域に及び、15億人を超えるユーザーに対して全天候で24時間利用できる高精度な位置測定、ナビゲーション(10)、時間情報提供サービスを提供している。
2015年4月25日、ネパールでマグニチュード8・1の地震が発生した。27日、中国の救助隊の隊員21人は北斗緊急救助指揮システムを携行し被災地に駆けつけ、災害の最前線で救助活動を行った。現地の水道、電気、通信が全て遮断され、各国チームの通信障害が救助活動を妨げる一つの要因となった。携帯電話の信号が完全に途絶えた状況下で、中国の救助隊員は北斗システムの独自のショートメッセージサービスを駆使し、救助活動の現場から位置情報と必要データの送信を実現した。この技術は、救助隊と各支援部門間の情報連携を保証し、リアルタイムの位置確認と通信支援において欠かせない役割を担った。
捜索救助は北斗システムの応用シナリオの一つにすぎない。北斗システムをベースとした土地所有権の確認、精密農業、デジタル化施工、防災・減災、スマートポートなどのさまざまなソリューションは、ASEAN、南アジア、東欧、西アジア、アフリカなどの多数の国で広く利用されている。
クウェートでは、北斗システムが高さ300㍍のクウェート国立銀行本社ビルの建設に活用され、垂直の精度を保証した。アラブ首長国連邦では、北斗システムとモノのインターネット(IoT)技術は鉄道の建設プロジェクトにおける工事設備の監視、材料と人員管理に応用されている。モザンビークでは、植物保護用のドローンが北斗システムで取得した位置情報を利用し、指定されたルートを正確に飛行しながら農薬を散布することで、水田耕作の作業効率を飛躍的に向上させた。サウジアラビアでは、北斗システムは地理情報の測量・製図・収集と都市の市政インフラ整備、砂漠での人間・車両の位置追跡などの分野に応用されている。タジキスタンでは、サレツ湖ダムの管理者が北斗システムを利用してダムの変位モニタリングを行っている。その精度はミリ単位で、ダムの安全と地域住民の命の安全を保証した。ロシアでは、北斗システムがシベリアの電力網巡視に使用され始め、現場スタッフと管理センターの円滑なコミュニケーションをサポートし、潜在的なリスクや設備の欠陥を迅速に検出することが可能となった。中国と欧州を結ぶ「中欧班列」では、コンテナに北斗端末が搭載され、その高精度の測位ナビゲーション機能が物流の利便性を向上させ、従来の輸送手段を一新した。
将来を見据え、中国は北斗システムを一層進化させ、より先進的な技術、強化された機能、向上したサービスを提供することによって人々の生活の質を高め、福祉を向上させるとともに、人類の発展と進歩へのさらなる寄与を目指している。